想いにふれる メイドイン

2/4~立春!暦の上ではもう春 じゃ

column

March 22, 2017

itonao’s memo①
第6回 世界料理学会 in HAKODATE の巻 【前編】

第6回 世界料理学会 in HAKODATE
2016.09.05-06 【前編】

日本全国、そして世界で活躍する料理人たちが集い、
自らの料理哲学を発表、熱く語り合う『世界料理学会 in HAKODATE』。

マイノリティ・リポートで知り合った
『シニフィアン シニフィエ』の志賀さんにお誘い頂いて、
同行取材&ブースのお手伝いに行ってきました。

舞台裏好きにはたまらない機会。

函館の『ちいさなしあわせパン☆』の澤田さん、
森町の『おおば製パン』の大場さん、
秋田の『パティスリー ストーブ』の斎藤さんと
ご一緒させていただきました。

「いま料理人に突き付けられている刃~素材・環境・経済~」
というオープニングセッションから幕を明けた2日間の学会。

国内外で活躍する料理人たちの発表が続く中で、
世界最速で一ツ星を獲得した『TIRPSE』(東京)の大橋氏が “八女茶”を大フィーチャーしたり、
エルブジで研修を積んで、タイのバンコクに店を構えるガガン・アナン氏が、
『Goh』(福岡)の福山剛氏とのプロジェクトやその魅力を熱心に伝えたり…

福岡からの参戦はなかったものの、
逆に、世界や日本の中での福岡や九州を感じられて、
「地産地消」と「地域に縛られない精神」を併せ持つ料理人たちの熱き心、
最前線を垣間見れた2日間でした。

以下はその時にとった、メモより。
ほとんどが発言者の発言をまんま、しかも抜粋&聞き取れた部分のみになりますが、
そのままお伝えしたいと思います。
(間違っている箇所等あれば修正しますので、ご指摘いただけると幸いです)

~一日目~
2016年9月5日(月)
函館市芸術ホール

■10:00~【開会挨拶】


会場のシェフたちをステージに呼んで、全員で鬨の声。
「料理人の情熱でさらに上昇して行きましょう!エイ、エイ、オー!!」

■10:10~【オープニングセッション】
『いま料理人に突き付けられている刃~素材・環境・経済~』
玉村 豊男(ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー
斎藤 壽(美瑛料理塾
深谷 宏治(函館/レストラン バスク
*紹介者=谷 昇(東京/ル・マンジュ・トゥー

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~素材・環境について~
深谷:今日は、これからの料理・料理人について、素材、環境、経済という切り口で語りたい。

玉村:
個人的な存在感がより大事になってきていると感じる。

斎藤:
昔は(料理の価値、評価は)“ロシアから氷を換えながら、キャビアを運んだ”とか、そういう時代だった。
今は違ってきている。身近にある素材の鮮度を見極めながら、どうやって提供するか、という方にシフト。
昔は「海外から運び込んでくる」。今は「身近、地元、自分」。価値観の移り変わり。

斎藤:
“サスティナビリティ(持続可能性)”。料理でこういうテーマが出て来るという驚き。
ガストロミー(美食学)にも”命を食べる”という意識がより必要になってきた。

~経済について~
深谷:インバウンドの要素。海外から日本を訪れる目的として、
名所等の他、お目当ての上位として「日本の食」「地方の食」が注目されている。

玉村:
地方の活性化には、ハコモノより、一人の料理人が店を作ることの方が有効。
もし、みなさんの中に「長野に店作ってもいいよ」という方がいたら、紹介するのでぜひ手をあげてください。
「料理人よ、地方に散らばれ!」

斎藤:
人口減少(という背景があるけれども)、人が減る時は技術革新のチャンス。
今は若い人がなかなかキッチンに入らないと言われている時代。IT化もありかと。

深谷:
そうなると、コントロール、ソフトの部分が料理人の仕事になるかな。

~深谷氏から会場のシェフたちへ「問題に対してどう対応しているか」という問いかけに応えて~

山本(龍吟):
日本の豊かさ、魅力を料理を通じて伝える。
バックボーンも含めて。それを海外でやる意味、意義、理由。

奥田(アル・ケッチァーノ):
生体から考えて料理をやった。ミネラル以外は全部生体=料理。
食べ物でどんな奇跡を起こせるのか。
『アル・ケッチァーノ』に全国から若者が入ってくる。北海道から沖縄まで。それをまた全国に還していきたい。

玉村&斎藤:
料理人ほど嬉しく、おもしろい仕事はない。お客さんが喜ぶ顔がただただ嬉しい。

深谷:
お客さんがたくさん来てくれる店が良い店。来て、食べて、払って、喜んでくれる。

谷(ル・マンジュ・トゥー):
そこを求めて追求するのは“真っ当な執念”ですよね。

<memo>
冒頭。セッションの前振りで、『ル・マンジュ・トゥー』の谷シェフが
「典座教訓」「文化」「耕す」という言葉を何度も言われていた。
調べたら道元禅師の著述『典座教訓』のことのようだ。

◎道元禅師と『典座教訓』について詳しく書かれているサイトはコチラ →

■11:00~
『TRADITION MEMORIES INNOVATION 伝統、メモリと革新』
Chele Gonzalez チェレ・ゴンザレス(フィリピン/Gallery Vask
*紹介者=木村 真季(食の専門出版社 柴田書店

<チェレ・ゴンザレス氏の発言より>
*情熱がないと料理はできない。
*スペインの5つ星のレストランを辞めてフィリピンへ。アジアへの興味から。
*コックコート2着だけトランクに詰めて一人で発った。
*スペインからアジアへ来て、生まれ変わったと感じた。
*『ギャラリー・バスク』は多感覚に訴えかける場所。
*フィリピン1000年の伝統。
*地理的には北にある中国の影響が少しある程度で、あとは独特の文化。
*次にスペイン。300年占領していた歴史があり、中国×スペイン。
*(レストランを)始めた当初は、現地の食材は使えなかった。
*海も非常に豊か。世界的に2位の海洋生物種の多様性。
*地元フィリピンの食材を少しずつ発掘。
*今は、レストランで使う食材の95%を現地(国内)調達している。
*フィリピンではもともと「ハーブは薬」という位置づけだった。それを食材へと変えていった。
*食材に隠れている、文化、人、歴史、伝統が大事。「伝統を翻訳して料理にして出す」のが私たちの仕事であり料理。味が美味しいかどうかはあまり重要でない。
*エモーションを伝えていきたい。フィリピンの心を持って料理を作っているが、スペイン料理でもフィリピン料理でもない。
*(テーマである)イカは私にとって大事な食材。※オリジナルのイカ料理を2種紹介。
*フィリピンの味は酸味。これまであまり経験がなかったが今は取り入れ、できるだけ酸味がわかるようにしている。

■13:00~
『次世代に伝えたい料理の可能性~日本の歴史、文化、自然や季節を映す、料理と皿のイマジネーション~』
植木 将仁(東京/MASA UEKI
*紹介者=音羽 和紀(栃木/オトワレストラン

<植木 将仁氏の発言より>
*魚は魚以上に、野菜は野菜以上に。(=素材を「料理」に変えるコンセプト)
*有田焼とコラボ。自らの故郷金沢・上越と、店のある銀座、そして有田を結びつける。
*雪中梅~越乃寒梅に匹敵。契約農家でのみ作る。
*五感。
*海、山、野…加賀の歴史と地の利。
*一皿で五味(塩味・甘味・酸味・苦味・旨味)を味わう料理。
*ガストロバック(調理器具)で調理。ソースをかけなくても、ソースをかけたような味になる。
*低温スチーム調理→別府温泉の地獄蒸しと同じ原理。
*野菜はシャッキリと、甘味もたっぷり
*旬のもの、魚介も素材を傷めずにアクがぬけて美味しさが増す!
*計3つの調理法で行なっている。
*マグロとイカのランデブー※オリジナルイカ料理を紹介。
*大間のマグロ、有田焼オリジナル。
*器と料理のマリアージュ
*越家転沢を大切に、東京で提供しながらもいかにその場にいるかのうような(地方)。
*茶の湯、懐石。フランスのヌーベルキュイジーヌも日本の懐石料理から影響を受けたと言われている。
*2007年、ニューヨークでの料理サミット。ロブション、ダニ・ガルシア、ムガリッツ、アルサック etc.…。その中で山本さんが登壇。スタンディングオベーション。国境を越え、料理を通して理解しあえる。
*この学会が5年、10年と時を重ね、世界に知られる料理学会になるといい。

■13:40~
『お茶と料理のペアリング』
大橋 直誉(東京/TIRPSE
*紹介者=須賀 洋介(東京/SUGALABO

<大橋 直誉氏の発言より>
*食事と合せる飲み物の世界的なペアリングについて。1位は水。2位がお茶。3~5位がビール、コーヒー、ワイン。
*世界でお茶というと中国のお茶のイメージ。日本茶は農薬許可の問題で輸入ができない。
*日本茶の苦境。「日本人×茶」の問題提議。
*日本でお茶を作っていない産地はない。
*1位:京都、2位:福岡(八女)、3位:静岡
*19年度の玉露部門では1位から26位を八女が独占。
*実は八女茶はお茶のコンクールで25年中、24年1位!でもあまり知られていない。
*一方で生産者、後継者の減少問題。
*日本茶のポテンシャルはすごい。お茶のペアリングは(個々ではなく、もっと)チームで取り組むべき問題じゃないか。
*(お茶のペアリングはもしかしたら)ソムリエより料理人の方がその理解が深いと思う。引き出しも多い。

■14:20~
『Chef’s High』
須賀 洋介(東京/SUGALABO
*紹介者=高澤 義明(東京/タカザワ


■15:00~

『演題未定』
伊藤 勝康(岩手/ロレオール
*紹介者=奥田 政行(山形/アル・ケッチァーノ

<伊藤 勝康氏の発言より>
*東京のレストラン勤務を経て岩手県に移住し、2000年から出張料理を行なう。
*土産土消。炊き出しの鬼。
*震災から始まった炊き出しににはシンガーソングライターの八神純子さんも共に参加。
*紹介者は『アル・ケッチァーノ』の奥田さん。庄内⇔岩手で行き来する仲。
*2016年に、岩手で2番目に小さい村・田野畑村に『ロレオール』をオープン。
*料理の背景にある伝統食、工芸、風習などの地域資源を総合し、あえて小さな地域モデルをデザインする「ポーラスタープロジェクト」を開始。
*北三陸の大自然。世界三大漁場のひとつ。南部鉄器。
*環境、資源に対する思いやり。
*ロシア、アムール川から鉄分。海藻が育つ。
*震災の影響…良い意味では海がきれいになった。

■15:40~
『世界料理学会 in ARITA』開催報告
秋山 能久(東京/六雁
梶原 大輔(武雄/souRce
寺内 信二(有田/李荘窯

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<発言より>
*八女、有田、日本のみならず、世界に通じるものとして「器と料理のマリアージュ」を追求。
*今、有田では、うつわ屋さんと協力して、月に一度、普段は使えない器を使って勉強会。
*「料理人からの挑戦状」「有田からの挑戦状」
*アリタバル…2日間。5千人集客。佐賀と福岡の調理師専門学校の生徒がお手伝い
*器をテーマにできた料理学会は、世界初だったのではないか。

<参考>
「世界料理学会 in ARITA」 開催レポート →

■16:40~
『世界に誇りし日本料理 RyuGin History 2016(イカ)』
山本 征治(東京/日本料理 龍吟
*紹介者=小西 由企夫(大阪/エル・ポニエンテ

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<山本 征治氏の発言より>
*今回のテーマが“イカ”ということで…。(と始まったがタイトルは“イカ”から“カニ”に変貌)
*この日のためにずっと撮りためた“カニ”でいきます(笑)。

この後、自分たちで作成した映像(大作!)を上映。
「五輝星(※)探しに…」と、鳥取県の堺港から始まる大冒険。

松葉ガニで有名な鳥取県のトップブランド「五輝星(いつきぼし)」の水揚げ~蟹生簀場~選別~
その後、五輝星を使った蟹料理(龍吟流)をいろんなアプローチでたっぷり10スタイル披露。
同時にYou Tubeにも公開し、世界同時配信!というパフォーマンスに富んだ発表を終えた。

<参考>
「日本料理 龍吟 松葉蟹学会発表」映像(You Tube) →

■19:00~
交流パーティー『レストラン五島軒』

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学会での発表後は、会場を『五島軒』に移してお楽しみの交流パーティー!
大、中と2つのホールに、参加シェフたちが腕を振るった料理やパン、スウィーツ、料理に合うワイン等がズラリと並びます。
入場チケット(前売6000円/当日6500円)を購入すれば、それらが食べ放題の飲み放題状態に。皆さん、ワクワク&ソワソワと開場が待ちきれないご様子。お客さまの中には、関東・関西など遠方から駆け付けた料理学会ファンやそれぞれのシェフのファンもいらっしゃいました。

そんな中『シニフィアン シニフィエ』では、人気のパン オ ヴァンパン コンプレ、オーガニックカンパーニュなどを惜しげもなく提供。長時間(120時間)発酵のバゲットやコンプレシャルム(糖質制限パン)など、実験的なパンも多く登場しました。

実は志賀さんは、2010年の『第2回世界料理学会 in HAKODATE』で、パン職人として初めての参加・発表をして以来、毎回参加している常連シェフ。この日も同業の料理人や食通のゲストたち、高感度なお客さまから次々と投げかけられる質問に丁寧に応えてらっしゃいました。

『ちいさなしあわせパン☆(函館)』の澤田さん、『おおば製パン(森町)』の大場さん、『パティスリー ストーブ(秋田)』の斎藤さんも一緒になってのパフォーマンスに、パン&スウィーツのコーナーは大いに盛り上がったのでした。

↑写真左より、大場さん(おおば製パン)、斎藤さん(パティスリー ストーブ)、志賀さん(シニフィアン シニフィエ)、澤田さん(ちいさなしあわせパン☆)、森川さん(パティスリー ストーブ・スタッフ)


■21:00~

関係者懇親会『港の庵(旧松橋商店)』

 

パーティーの後は、関係者の懇親会へ。

明治35年築の建物(旧松橋商店)は、木造、煉瓦造、土蔵の3種で構成された貴重なもの。
外観も中も雰囲気抜群!

学会の発表者やトークセッションのゲスト、運営スタッフたちが
業界話やグルメ談議に花を咲かせていました。

オープンな厨房からどんどん繰り出される料理たち。
ビールもワインもこれまた美味しくて…、
さきほどのパーティー会場における飲食で、すでにお腹いっぱいなのが悔しい限り。

それにしても、シェフたちのバイタリティたるや!
食べ続け、飲み続け、話し続け…(それもほとんどの人が前乗りの昨日から!)
心身&内臓ともに鉄人です。

パン屋さんは朝が早い、というより夜中に起床するため、
「普段、この時間は寝ている」という志賀さんも、ずーっと元気!

そんなこんなで函館の夜は更けて…。
明日、二日目につづきます。

文・写真/伊藤尚子

~二日目~【後編】はこちら >>>