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column

July 16, 2023

シャッター音を傍らに
scene42 【7月】Sun Is Shining

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

夏の陽射しに生月島大橋




【7
月】Sun Is Shining


この頃ラジオを聴きながら撮影の旅をしている。

ラジオと行ってもリアルタイムではなく録音しているものなので、
流れるのはお気に入りの番組ばかりだ。

特に作家・村上春樹がDJを務める『村上RADIOという番組がお気に入りで、
とてもいい音楽ばかり流れるので繰り返し聴いている。

そこでハワイのマウイ島でレンタカーを借りた話が出てくる。
その借りた車には前の人が聴いていたCDが入れっぱなしになっていて、
そのCDをマウイ島でのドライブ中ずっと聴いていて、すっかり気に入ってしまったという話だ。

そのCDはボブ・マーリーのNatural Mysticというアルバムで、
ラジオではその中からSun Is Shiningという曲がかかった。

そのレゲエを聴きながら、僕もいつかマウイ島でこのアルバムを聴きながらドライブしてみたいと思ったのだ。
しかし村上さんと違って現実の川上君はハワイなどそう簡単に行けるはずもなく、
いつかどこか気持ちのいい島へ撮影に行くときにでも聴いてみよう、
というささやかな夢を抱きながらCDを購入したのだった。。

そして今月のとある晴れの日、僕は長崎の生月島へと撮影に向かった。



大橋を渡って生月島へ



生月島は平戸の先にある橋でつながっている小さな島。
サンセット道路と呼ばれる海沿いの道が続き、大海原を眺めながらのドライブとなる。

とても気持ちのいい島だ。これはいよいよこのCDの出番だなと思ったのだ。
 



生月島サンセット道路

この島は断崖風景の島でもある

 


島の一本道を走ると一気に南国気分になった。青い海とこの島特有の断崖も見える。

心地いい潮風を感じながらレゲエと共に走るというのはなかなか最高の気分だ。
撮影現場である断崖のそばに車を停め、太陽が傾くのを待つ。



塩俵の断崖




そしてラジオで何度も聴いていた『Sun Is Shiningがかかった。
マウイ島の風景を想像しながら聴いていた曲だけれど、生月島もまあ悪くない。

僕はこの先、この曲を聴くたびにこの日の生月島の潮風と晴れやかな情景を思い浮かべることになるだろう。
そしてちょっとした夢に寄り添ってくれた大切な音楽として、
これからも僕の心をさりげなく支えながら聴き続けていくことになりそうだ。

そういう音楽との思い出って大切ですよね。




人がいるのかと思ったらかかし

 

 


●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →