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column

April 24, 2022

いいにおいのする台所研究所 連載 第43回
【あんこ教室ルポ】 自分であんこが作れるなんて

ワクワク。

場所の名前は、「いいにおいのする台所研究所」。
ここで私が皆さんと食べものの話をするのです。
誰に気兼ねすることなく、
最初から最後までずっと食べものの話をするのです。

ドキドキ。

ここでしばらく時間をかけて趣旨説明をします。
これを読んで、そういうことなら私も食べものの話をしに行きたいな、
と思ってくださったらば、あなたもどうぞスタジオへお越しください。

by natsuko kawakami







43)【あんこ教室ルポ】 自分であんこが作れるなんて


こにゃにゃちわ!!!!!
あんこ大好きカワカミあんこです。
間違えました。

先日、別の打ち合わせで、伊藤さんがパン屋であんぱんを買ったことがない、という
衝撃的な発言をしておられました。

ん?
あんぱんを買ったことが……な・い……?

ちょっとホント、目の前が真っ白になりました。

あんぱん、それはもうパン屋さんのドアくらいに
パン屋さんになくてはならないものです。
ドアがないパン屋さんありますか?
ないでしょ?

あんこを毎日食べているわけではないけれど
あんこは確実にワタクシの身体になくてはならないものです。
最近あんこ食べてない、とかそういうことは
特にあんこ食べなければ、と意識をしてなくても起こり得ません。
ああもうもどかしい。
ワタクシの心の蛇口、ひねれば確実に出てきますよ。

あんこ。

現に、今まで執り行ってきました講座でも、あんこがテーマではないのに
何度豆を甘く煮る話をしたでしょうか。
もうあんこやらなくてもいいんじゃないの?っていうくらいに。

けれど、やはり改めてあんこ講座のレジュメを作り、試作に取り組んでいると
もうあふれちゃってあふれちゃってですね。
ああ、あんこの話だけしていいんだ、という幸せ。

 

なんせ2時間であんこを煮上げるのです。受講者のみなさん到着前に完璧なる下準備&シミュレーションを行ないました



これからいつものようにマイクをお渡しして
当日のレポをお願いするのが、あんぱんを買ったことがない伊藤さんです。
あっ!大丈夫です。パン屋さんにはクリームパンだってサンドイッチだってあります。
あんぱんがこの世の全てでは……、ないのです。



。°+°。°+ °。°。°+°。°+ °。°。°+°。°+ °。°+ °。°



…というわけで、
ここからはわたくし、
あんぱんを買ったことがなかった伊藤がお届けします。

ちなみに、「自分用に買ったことがない」というだけで、
お土産として買うことはありました。
食べたことだって
もちろんありますよ。
貰ったり、そこにあったり、、、
あんぱん、おいしいですよね。





■■『おうちであんこ』 by いいにおいのする台所研究所 ■■
3月26日(土)の回


さて、今回も参加者同士の自己紹介から始まりました。
「私とあんこ」など、自分なりのあんこ観についても語っていただきました。

あんこに限らずですが、食や料理について語る時、
人は幼き日の思い出が甦ることが多いようです。

お母さんがこうだった。
お祖母ちゃんがこうだった。
こんな家だった、こんな家族だった etc.…

食の記憶、食卓の風景は本当に十人十色。
さまざまな思い出の味を共有しながら、
今回も、いいにおいと一緒に楽しい時間を過ごしたのでした。


以下、写真とともにルポをお贈りしますが、、、
今回、カメラ設定を誤って画像が暗いです。ごめんなさーい(涙)。



感染症対策をしつつも、アットホームな雰囲気。所長は透明なマウスシールド着用中



 


おはぎや何かになりそうなものたちが並んでいてワクワク。
こしあん、つぶあん、デーツあん、麹あんなど、食べ比べたりもします。

デーツは果物のデーツ!

「え、デーツであんこ?」
「デーツって何!?」
「これ、結構好きかも」 など、反応も様々。


今回も参加者全員で、ディスカッションしながら会は進みます。



こちらは麹あんこ。砂糖を使わず、麹で発酵させて甘みをつけたもの


箸休めの「即席キュウリの浅漬け」。リクエストしたら、所長がパパっと作ってくれました♪

炊いた小豆を濾す。実技(自分でやってみること)から得るものはやはり大きいと感じます

こしあん。結構、あっという間にできる




地味に見えて、かなりエキサイトしたのが「小豆の灰汁(アク)問題」。

カワカミ所長曰く
「私の小豆は、一晩水に漬け……ません!」
「最初の煮汁から最後砂糖を加えて煮詰めるところまで、一回も水を変えません。」

当然、疑問、質問、悲鳴、非難(?)の嵐。
これまで、一切小豆を自分で煮たことのない、私と他2名の参加者は、ぽかーんでしたが、
一度でもトライしたことのある方たちには、衝撃のようでした。

そんな(楽ちんな)世界があっていいワケない!
そんなの、あんこ作りのセオリーから外れる。
でも、その方が小豆本来の味を楽しめるのかも?
栄養もちゃんと残るよね。。

でもでも・・・



今回、大注目された灰汁。ここに小豆の栄養素が溶け出してしまうので、もったいないとの意見多数。「活用法はないのか」などの議論も



戸惑い続ける参加者に差し出されたのは、
何度か水を変えて(きちんと)炊いたあんこと、一回も変えずに炊いた(カワカミ)あんこ。

食べ比べてみた皆さんの反応と、私の舌の感想としては、
「なんとなくの違いはわかるけど、思ってたほどには変わらない」
「結構、こっちも好き」
「おうちで作るなら、これで十分」 などなど。。

ものの本によると
「渋抜きされていないあんこなど、苦くて食べられない」とまで書いてあるらしいのですが、、、

そう。大事なのは、実際に作って食べて、
その違いがわかった上で選択できること。受け売りでなく。

答えはひとつじゃないですもんね。









さてさて、ここからはサプライズ実技。
なんと「八つ橋」です。

あんこがあるんだから、後は皮があれば出来ちゃいますよね、と所長。

とはいえ、八つ橋ですよ。
あの京土産の代表格ともいえる伝統和菓子。
それが自分で作れちゃうなんて!と、大盛り上がり。

「八つ橋って、貰う物ですよね!?」
「私、自分でも買いますよ」
「八つ橋の“皮”が好きなんですけど~」
「皮だけ、売ってるのもありますよ」
「え?」
「固いのもありますね」 
「固いのが先みたいですよ」
「え?え?」・・・

八つ橋話も止まりません。



米の粉はいろいろありますが、手に入りやすく成形時などに扱いやすいのが白玉粉と上新粉

 

 

 



八つ橋の皮は白玉粉と上新粉を使って。
蒸篭で蒸して、伸ばして、
「シナモンパウダーをどのくらい入れたいか」もみんなで相談。
出来立てホヤホヤ、いい匂いのする八つ橋の皮に感嘆の声が上がります。


初めての八つ橋包み

切れ端も人気。そのままモグモグ食べるのもよし、オーブンで焼けばいわゆる生じゃない八つ橋になります




そしてお待ちかねの「おはぎ」タイム。
つぶあん、こしあん、きなこ、青のり、ごま、きなこシナモンなどから、
お好みのおはぎを作ります。



 
丸める丸める…

ハイ、出来上がり~♪

三年番茶とともに試食タイム

芥子の実なんかも乗せたりして…











食べ比べあんこに、八つ橋、おはぎと、あんこ尽くし。
即席漬けと番茶で、どんどん食べれちゃうね~と、皆さん。

余ったおはぎは持ち帰りにして、
最後はカワカミ所長お手製の「お土産あんこ」まであって、
思いきりあんこな一日でした。






以下、終了後のアンケートより一部抜粋。

感想など、ご参加の方々の声を掲載させていただきます。


・あんこ教室、待ちに待ってました!

・あんこのおやつがこんな風に作れるんだと感動。

・いつも出来合いを購入しているので、自分で作れるようになりたかった。

・感染症対策、ばっちりでよかったです。

・八つ橋が驚きでした。

・八つ橋は特にうれしかったです。

・工程がシンプルで目からうろこでした。

・おはぎは、子どもたちに食べさせられそうな気がしてきました。

・参加者の皆さんの話も楽しいです。

・思ったよりも難しくなく、あんこは自分で作れそうです。

・トラウマから脱出できそう。

・2時間できれいなあんこが出来ることにびっくり!!

・毎回、おまけのレシピが盛りだくさんでとっても楽しく学べています。

・川上さんのお話、すっごく共感できます。(しています!!)

・次回の「お題」は何だろうなとワクワクしてました。

・苦手意識があった料理、楽しいと思えるようになってきた気がします。

・これからも楽しみにしています。



次回の開催も予定しておりますので、
引き続き『いいにおいのする台所研究所』をよろしくお願いします。



以上、写真&ルポからお返ししまーす!









。°+°。°+ °。°。°+°。°+ °。°。°+°。°+ °。°+ °。°

 

あ〜〜〜〜〜。
振り返るだけで満たされるぅ。

秋や春のお彼岸あたりになると、
やはり大きな皿や重箱におはぎを何個も作って心ゆくまで頬張りたい。
おはぎはあんこのおにぎりです。
おうちで作った甘さ控えめのおはぎ。たまりません。

講座を通して、あんこが味噌汁のように気負わない手仕事になれば
これ幸いです。

 



つづく・・・
>>>次回は5/10頃に更新予定です。


前の記事を読む>>>『いいにおいのする台所研究所』



●写真・文/川上夏子

■■プロフィール■■

●川上夏子(かわかみ・なつこ)
1974年福岡生まれ。グラフィックデザイナー。ではあるけれども、著作があり、スタイリングもやるし、料理家さんの日雇いアシスタントもやります。
日々マッキントッシュの前に座りながら、頭の中はほぼ「何を作り何を食べるか」でいっぱいであります。
アラフィフの入り口に立ち、いよいよ人生の総まとめとして「食べものの作り手」として本格的に仕事をしていきたいと考えています!趣味は健康管理。
[著書
『小夏を探す旅』(2020年)
『ぼくらのいえができるまで できてから』(2016年)
『福岡のパンとお菓子の小さなお店』(2013年)
『福岡のまいにちごはん』(2012年)