想いにふれる メイドイン

column

November 02, 2020

シャッター音を傍らに
scene12 【11月】 SKY WINDOWS

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

雲の上から

 



【11
月】SKY WINDOWS


久々に飛行機に乗ることになった。

つい先日から始まった仕事の初撮影となるのだが、
九州近郊での撮影とばかり思っていたので初めての撮影地が新潟と聞いた時はびっくりした。

どうやって福岡から新潟へ行くのか、いろいろと調べてみると、
羽田経由、はたまたすべて新幹線などなどいろいろあったけれど(ちなみに車では17時間ほど)、
飛行機で直行便があるというのでさっそく早朝出発便を予約したのだった。

朝6時過ぎに福岡空港到着。
朝焼けの福岡空港にやってくるのはどれくらいぶりだろうか。
僕は福岡空港写真展の審査員の仕事を10年以上続けているけれど、
朝焼けの写真もいくつか記憶に残っている。

なるほどみなさんこんな時間の空港風景を撮影しているんだなと思いながらターミナルへと向かう。

 

朝焼けの福岡空港

 


意外だったのはプロペラ機だったことだ。
新潟って結構遠いから小型ジェットとばかり思っていたけれど、
飛行機までバスで案内というところからもしかしてと思いきや、
離島へ行く際によく乗っていたボンバルディアだった。

7時すぎ、福岡空港を離陸。
小型の機内には窓側にのみ乗客が座っている。
座席も補助席のようなかわいいもの。

まるでマイクロバスが何かの拍子に飛んでしまったというような感じで飛び立った。

 

眼下に九州の山々が広がる

 


機内ではすぐに眠ってしまう人もいれば、スマホに見入る人、
はたまたルービックキューブと奮闘している人もいる。

僕は飛行機ではいつも窓に顔をひっつけるようにして眺めている。
そしてもちろん写真を撮っている。
朝の光に輝く山々、雲を映す海、そして川のきらめきがとにかく美しい。
雲の上という別世界に身を置いているという不思議な感覚もたまらない。

 

きらめく海に雲の影

街を流れる川が輝いている

 

すると客室乗務員の方が声をかけてきた。

「お客様、いい写真は撮れましたか?」
マスク姿でいろいろと大変な想いをされているのに、
このように笑顔で声をかけてくれたことに僕は素直に感激してしまった。

「すごくいい景色が広がってますね」
と僕も笑顔で応えた(マスクでよく分からなかっただろうけれど)。すると
「シートベルトのサインがついていない時は移動してもいいですよ」と言ってくれたのだった。

こういう小さな出来事が、飛行機を好きになる大きなきっかけになる。

かつて北海道行きの機内でも同じように声をかけられ、その時はポストカードを手渡され、
そこには乗っている飛行機の写真にその時間の高度が手書きされていた。

またハワイ便ではビンゴゲームが機内で開催され、ビンゴしたことがあった。

そしてそれらの出来事の時にはいつもカメラが傍らにあった。
だからというわけでもないけれど、いつも飛行機ではカメラを抱えて
窓からの風景にずっと見とれながらシャッターを切っている。
何かいいことがありそうで。


新潟空港に降り立つと、空は快晴。
さあ仕事。
飛行機ってやっぱりいいなあ。

 

新潟空港到着

 



●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →