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column

January 17, 2024

シャッター音を傍らに
scene46 【1月】朝霧の上へ

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

佐世保市弓張岳展望台より




【1
月】朝霧の上へ


年末から今月にかけて、この季節の行動パターンのように朝日と雪の撮影に九州各地を巡っていた。

朝日の撮影は、日の出の時間に太陽が雲に隠れているとその時点で撮影は不可能なので結構ハードルが高く、
夜明け前の東の空を何度も確認しながら撮影場所に向かっている。
雪は雪で撮影場所まで到着することが最初のハードルになるので、この季節の撮影は結構緊張するし、
失敗も多くなるので精神的にちょっときつくなる季節でもある。


くじゅう沓掛山斜面の霧氷

開聞岳

夜明け前 鬼の洗濯岩にて

 


今年最初の日の出撮影は、三隈川から昇る朝日を撮影しようと日田へと向かった。

三隈川沿いにある亀山公園近くから、川霧の先から昇る幻想的な朝日の光景を撮影しようと前々から狙っていた場所があるのだ。
撮影場所から歩いてすぐのところにホテルがあり、ここを予約して前日の夕方に下見して構図まで決めて次の日の朝を待った。
ところでこのホテル、僕の部屋がある7階のエレベーターが開くといきなりアインシュタインの写真が現れる。
どうやらこのフロアはアインシュタインのフロアということらしい。
ほかにビートルズのフロア、ヘプバーンのフロア、というのがあるみたいだ。
ビートルズがよかったなあ。

そしてこのアインシュタインフロアの部屋で夜明けの時間を待った。
部屋の窓からは日田の街並みと亀山公園が見えていた。
天気予報は快晴の予報だったので確実に朝日は見られるだろうなと楽観していたのだが、かなり濃い霧が覆ってきたのだった。
みるみる町並みは真っ白になってゆく。川霧というより濃い朝霧だ。



朝霧が広がってゆく日田の街



日の出の30分前にアインシュタインに見送られながら部屋を出て三隈川に行ってみると、真っ白で何も見えない。
当然日の出の時間になっても真っ白のまま。
まさか快晴の予報で朝日撮影ができないとは、恐るべし日田の朝霧。



天気予報は快晴なのに町は朝霧の中



朝霧の合間からぼんやり太陽が

 

まあ作品としては面白い朝霧になっただろうけれど、仕事しての今年初の朝日撮影は不発に終わった。

数日後、リベンジで再び同じホテルに。
またアインシュタインだ。そして前回と同じように天気予報は快晴。
しかし夜明け前に部屋の窓から街並みを確認してみると、前回よりもさらに濃い朝霧なのだ。
もう朝日が撮影できるわけがない。

ということで、朝6時過ぎにチェックアウトし、朝霧の上から撮影できる場所を求めて玖珠町へと向かった。
ここには伐株山という低山があり、玖珠町に発生する雲海を眺めることができるのだ。
日田がこれだけ濃い朝霧なら玖珠町は確実に雲海状態になっているだろうと思い描きながら濃霧注意報の高速を走ってゆく。
そして思っていた通り玖珠インターも街中も真っ白な雲海の中。道もよく分からないくらいくらい濃い。

すると伐株山へと向かっている登り坂の途中、まったく突然に霧はすっかり晴れ、美しい朝焼けの空が広がった。
そしてようやく朝日を、そして素晴らしい雲海も撮影することができたのだった。



玖珠の町は黄金色に雲海の下に

 

 しかし日田、三隈川での朝日は今後の挑戦課題の一つだ。

今度はビートルズのフロアがいいなあ。



このフロアで朝日撮影を待ちたい

 

 


●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →