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column

August 14, 2022

シャッター音を傍らに
scene32 【8月】束の間の夏休み

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

夏空のくじゅう




【8
月】束の間の夏休み


連日の猛暑が続き、避暑のつもりで福岡からくじゅう白丹にやってきたけれど、
こちらも耐えがたいほどの暑さであることが分かり(この地域はもともとエアコンがないのだ)、
竹田市図書館にルスカ3人でやってきて机を借りこの原稿を書いている。

まるで受験生の気分で、あの頃僕はつらかったなどと思い出しているとなかなか原稿は進まない。
しかも今日は早起きして久住高原の撮影をしていたのでとても眠い。



久住高原での朝



今月はとにかく暑かったので、撮影、取材のたびに体力をみるみる消耗してしまった。
これほど体力の事を気にかけた夏は今までにあっただろうか。

年々暑くなり年々年齢を重ねているので、
日本の夏はみなさん休息こそすべてというくらいに考えるべきではないだろうか。

もちろんそうはいかないと分かってはいるけれど、
束の間の休息を今まで以上に大事にしなければと思っている。

今月初めに雲仙の撮影があり、早朝から猛暑の中、灼熱の地獄を巡った(まさに地獄!)。
地獄周辺のお店も含めてへとへとになって歩き回ったのだが、
撮影後に遭遇した夕焼けに車の中からしばらく見とれていた。

地獄からの生還といった感じで束の間の休息だ。



仕事帰りの夕焼け




つい先日は撮影後にくじゅうの温泉宿に宿泊し、久々に熱帯夜から解放された。
星空を眺めながら眠り、ヒグラシの声で目を覚ました。

あーいい休息になったと朝日に輝く高原を眺めていたちょっと長い束の間。



飯田高原の朝

ヒゴタイが咲き始めていた



ここまで書いたところでお昼休みとなり、竹田市図書館を出た。
扉を開けるとまぶしい太陽の光の中からミンミンゼミの声が響いてくる。

すると何だかとても懐かしい気分が押し寄せてきた。
受験時代の苦しい夏ではなく、小学生の頃の水と緑と入道雲のまぶしい夏だ。

この気分は仲間2人も同じだったようで、50代3人は懐かしい夏休み気分。

広場でサンドイッチを食べながら、
これから先もこんなさりげない時間を大切にしながら撮影を続けていければいいなと思いながら
束の間の夏休みが過ぎてゆく。



取材先でトマトをたくさんいただいた






●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →