想いにふれる メイドイン

秋分。夜が段々長くなるね~

column

September 01, 2019

シャッター音を傍らに ~福岡⇔くじゅう白丹~
scene03 【9月】 みずしの森へ

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by shinya kawakami

夕暮れのくじゅうをゆく


【9月】 みずしの森へ


福岡をお昼過ぎに出発し、
久住高原を抜けて竹田市を見下ろす岡城址に到着したのは、
トンボが飛び交う夕暮れ時だった。

すでに誰もいない駐車場に車を止め、石段をしばらく登ってゆく。
石垣のみが残る岡城址は滝廉太郎の『荒城の月』の舞台として知られているが、
この曲を口ずさみながら静けさの石段を上るのは
とてつもなく寂しい気持ちになってしまうので、
道中でずっと聴いていたBeach Boys曲を口ずさみながら西の丸御殿跡へと向かう。
雰囲気には全くそぐわないけれど。

『Catch a Wave』を口ずさみ終えたところで視界が開けてきた。
ここから望むあまりにも雄大なる風景、
久住をはじめ、遠く熊本の山々まで緑の大地が広がっている。
まるでどこまでも続くWaveのよう。

そしてその緑の波の中に、
長年秘密にされてきたようにぽっかりと姿を見せる小さな町がある。
竹田市だ。

改めてこの町の豊かなる環境を実感。

 

福岡から約3時間半でこの光景に

 

白丹で静かなる夜を過ごし、
次の日はここから車で10分ほどのところにある『cafe & gallery みずしの森』へ。

5年ほど前、雑誌の取材で訪れてから何度もお邪魔しているお気に入りのお店。
車を止め森の中の小径をゆくと、緩やかな曲線を描く天井、丸く角がとれた壁、明るく上品な色合い、
訪れる人々を柔らかく迎え入れる印象を与える小さな建物が見えてくる。

 

森の小径の先に

 

服飾デザイナーとして活躍されていた店主の秋月正徳さんは、
この建物の設計も担当し、ギャラリーとカフェを備えたこのお店を
くじゅうの美しい大自然に囲まれたこの場所に誕生させた。

共に芸術家である妻の典子さん、
チェリストでもある兄の敏春さんと共に営んでいる。

 

森を眺めながらのカフェタイム

毎月さまざまなアートの企画展を開催

 

僕も数年前、こちらで写真展を開催させていただき、
いろんな方々と出会うきかっけにもつながっていった(かなり風変わりな方々もたくさん)。

そして猫のムク、シロも新たに仲間入り。


ちょっと怖がりなシロ


秋月さんのお母さん直伝のキーマカレー、ピザ、ヨーグルトなどなどをいただきながら
窓から見える緑を静かに眺める。

店内にはモーツァルトが流れ、時おり鳥の声、葉の揺れる音がささやかに聞こえる。
数分に1台ほど、森の先の道を車が通り過ぎてゆく。

その音さえとてもいいアクセントとして森に響いている。


カスピ海ヨーグルトをいただく


こういったかけがえのない時間が、
これからの僕の創作活動をささやかに支えてゆく。

2時間ほど滞在して再び福岡へ。

 

気持ちのいいテラスでくつろく秋月夫妻


■『cafe & gallery みずしの森』
所:竹田市久住町有氏鳥越2002-1
営:10:30~18:00
休:第1・3…月火曜/第2・4…月火水曜 
電:090-3015-4204
P:20台

 


●写真・文/川上信也
 

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →☆