column
April 26, 2019
ひとしずくの台湾 ーMade in Taiwanを探しにー
drop10 茶藝館で心ほどいて
福岡市在住フリーランスライターが綴る
「Made in TAIWAN」をテーマにしたアレコレ。
仕事でもプライベートでも、何度でも訪れてしまう台湾の魅力を
ゆるゆると発信します。
by arei maeda
drop10 茶藝館で心ほどいて
予定をつい詰め込みすぎてしまう旅の途中で、
気持ちを落ち着かせてくれるのがお茶の時間だったりしますよね。
台湾ではおしゃれなカフェも増え、コーヒー文化も発達していますが、
どこかで一度は「茶藝館(ちゃげいかん)」へ足を運びたくなります。
台北でお気に入りの茶藝館といえば、
国立師範大学エリアにある『小慢』さん。
永康街からカフェや雑貨店などセンスのいいお店が点在する青田街を抜け、
南に下っていくと、閑静な住宅街にひっそり佇む木造家屋のお店です。
こちらでは、台湾原産の貴重な自然生態茶を
オーナーの審美眼でセレクトされた茶器でいただけます。
駆け足でなく、時間をつくって大切な人を案内したくなる場所。
京都に姉妹店を構えたり、日本の作家陣との交流も深く、
台湾と日本をつなぐ文化の架け橋でもある存在です。
所変わって、観光地としてたくさんの旅行者が訪れる九份にも、好きな場所があります。
ここに来て、時間があると立ち寄るのが『九份茶房(きゅうふんさぼう)』。
にぎやかな基山街にある正面玄関から一歩中へ入ると、そこは別世界。
意外にも広々としたお茶屋さんの空間が迎えてくれます。
テラス側にある喫茶スペースは、ペパーミントグリーンの壁の色や
レトロな調度品でコーディネートされ、タイワニーズな雰囲気が満点。
これからの季節は見晴らしのいいテラススペースもいいですね。
地階には陶芸家であるオーナーの作品が紹介されているギャラリーがあったり、
観光地の喧騒の中で静かな時間を過ごせる穴場感あり。
歩き疲れた足を休めて、心がほどけていくような緩やかなひとときを過ごせます。
どこもお店でもそうですが、スタッフの方による茶器や茶葉の説明にはじまり、
お茶の淹れ方や味わい方をしっかり指南してくれるので、飲み方がわからなくても安心。
蓋碗(急須になる万能茶器)や茶海(味の濃さを整える役目のピッチャー)、
茶杯(湯呑み)を温めた後、茶葉を入れて蒸らした蓋碗から茶海へお茶を注ぎ、茶杯へ。
残った茶葉の香りも楽しみながら、いただきます。
茶葉代にお湯代が人数分加算されるシステムが多く、決して安価とはいえませんが、
お湯をさしながら本格台湾茶をじっくり味わえて、残った茶葉は持ち帰りもできます。
ただし、小さな茶杯で何杯も飲んでしまうので、おいしさに魅了される意味合いもある反面、
まさしく「お茶に酔ってしまう」人もいるそうです。
空腹時や飲み過ぎにはご注意を。
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●写真・文/前田亜礼
■■プロフィール■■
●前田亜礼(まえだ・あれい)/福岡市在住フリーランスライター。
大分県日田市出身。台北のガイドブック執筆をきっかけに、2009年から台湾へ。
以来、仕事の合間を縫っては気まま旅を楽しんでいます。いつかは台湾暮らしを夢見て、中国語と二胡を修業中。