想いにふれる メイドイン

新元号「令和(れいわ)」は5/1~スタート!

column

April 04, 2019

くじゅうの麓、白丹のルスカ scene12
【4月】 新しい風の中で

うららかなる春の高原より

【4月】 新しい風の中で


4月はじめ、くじゅうの山々はまだ淡い茶色の山肌を見せているけれど、
春に向けての用意は慌ただしく進み、野焼きを終えた大地には色とりどりの花が咲き始めている。

この時季、僕が特に好きなのはコブシの白い花。

周囲の木々の若葉が目覚める前に咲くため、
夜明け前に見ると色のない世界にポッと灯りを灯しているように見える。

とても幻想的で冬の荒々しさを和らげてゆく暖かな光景だ。

 

コブシの花が山肌に咲き始める



森では鳥たちの大合唱がはじまる。

交響曲のような美しい旋律が木々にこだまして森全体に広がってゆく。

それに耳を傾ける僕の感情もとても穏やかになりはじめ、
それは励まされているような感覚になることもある。

暖かくなったことで風景だけでなく、人間の感情まで一気に変化してゆく。

鳥たちの声が自然を目覚めさせるように響く

 

車で走っていると様々な動物たちが横切ってゆく。

色の美しいキジはけたたましく鳴き声をあげて足早に去り、
逆にアナグマは車に気付かないことも多いのんびり屋。

くじゅう花公園あたりではキツネを何度か見かけたけれど、
いつもじっと見つめてから逃げてゆく。

あの見つめる瞬間に一体何を思っているのだろう。
先日も山道で小動物に出会ったけれどタヌキだろうか。

様々な動物に出会うたびにどこで厳しい冬を越してきたのだろうとしみじみ思う。
もちろん白丹の猫たちも含めて。

 

たぶんタヌキ

 

そして4月中旬頃、山桜が満開を迎える。

久住高原の『レゾネイトくじゅう』裏から始まる登山道を、
くたみ分れ方面へ登ることおよそ15分、
四千本もの山桜が咲く不思議な場所がある。

標高千メートルの桃源郷と呼ばれており、
どうしてこの場所にこれほどの山桜が植えられているのか詳しくは分からないらしい。

去年は花がやや終わった頃に登ったけれど、
風は花を揺らし大地をピンク色に染め、
木々の向こうには高原がぼんやりした春の大気の中に広がっていた。

その地平線の向こうには青い山々が連なり、
それはまるで世界が喜んでいるような春の光景。

 

約四千本の山桜が咲く

 

こうした自然界の再生の中、時代は令和という大きな始まりを迎える。

僕自身もこうした新しい時代の風に乗り、何かを始めなければと思っている。

白丹のルスカではとりあえず月に一度、
三日間限定の写真展開催を続けていければと計画中。

 


 
【今日のルスカ】

ルスカ玄関前にも春の到来

 


●写真・文/川上信也
 

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami