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March 02, 2025
季節の副菜と台所道具[第4回]
3月…水分たっぷりの春野菜をさらしでギュッ!
旬の食材を使って
ひと手間かけて作られた副菜は
立派なごちそう。
便利・時短が当たり前の時代ですが
家庭料理と、消えつつある優秀な台所道具たちを
ちょっと見直してみませんか?

綿100%のただの白くて長い反物なのに、衣食住全てのシーンで使えるさらし。
使う用途によって長さをカットできるし、色んな場面で使って使って使った後に最後は雑巾としてまた使う。なんてエコな布でしょう!キッチンペーパーは便利だけど、使い捨て文化にちょっとでも罪悪感を感じる人にはぜひ、SDGSの入り口として使ってもらいたいアイテムです。
第4回
3月…水分たっぷりの春野菜をさらしでギュッ!
「包丁一本〜♪さらしに巻〜い〜て〜♪」。
これは昭和の名曲『月の法善寺横丁』の出だしの歌詞。
惚れた女と一緒になるため、一人前の板前になるべく修行に出る男の歌。
さらしは日本料理の板前にはなくてはならないもので、
洗った食材を拭いたり、刺身をひく時に包丁を拭いて刃についた肉片を取ったり、
塩もみした野菜を絞る時に利用したりと使い方は様々。
和食には欠かせないアイテムです。
古くなったさらしは小さく切って卵焼きを焼く時の油ならしに使ったり、雑巾に使ったり、
最後まで役に立ってとってもエコ!
使い捨てのキッチンペーパーを使うよりSDGSです。
さらしって何処で買えるかご存じですか?え?ネット?
まあ、もちろんポチッとすれば今のご時世なんでも買えますが、
ちょっと前までは金物屋さんや呉服屋さんで買ってました。
呉服屋さんに何故あるかというと、着物を着る時、
体に巻きつけてバストラインやウエスト周りを平らにするための補正グッズとして使うから。
妊婦さんが大きなお腹を支えるために骨盤から下腹までぐるぐると巻いてガードルみたいにも使います。
実は私も3人の子供を妊娠していた時は妊婦用のガードルではなくさらしを巻いていました。
綿100%で蒸れないし、伸び縮みしないから意外とガッチリ固定できて重宝しました。
こんな風にさらしは、日本の衣食住の色んなシーンになくてはならない名脇役なのです!
料理の話に戻りますが、台所仕事でさらしは本当に大活躍。
ちらし寿司を作る時はさらしを酢水で濡らして寿司桶を拭く。
酢飯が乾かないように濡らしたさらしを硬く絞って上から被せる。
金属の蒸し器で茶碗蒸しをする時は蓋にさらしを巻きます。
水蒸気が蓋の内側に当たって水滴が卵液に落ちてこないようにするためです。
おはぎを作る時は濡らして硬く絞ったさらしを手のひらに乗せ、
そこにあんこを広げて丸めた餅米を乗せてさらしで包み込むようにしながら成形すれば
手にあんこがつかず、綺麗に仕上がります。
私が1番よく使うのはサラダや和物の時。
小口切りしたきゅうりに塩をして水分を出してから
さらしに包んで絞るととってもよく絞れます。
今回ご紹介するコールスローを作る時は、
きゅうりだけでなくキャベツや人参も塩で水分を出した後さらしで絞ります。
手だけで絞るよりよく水分が絞れ、ヴィネグレットソースの絡みが良くなります。
ぜひ、やってみてくださいね!
ところで冒頭の『月の法善寺横丁』で「さらしに巻いて」ってところ、
「さらしで巻いて」では?
それとも体に巻いたさらしの周りに包丁をくくりつけたのか??ナゾだ。

浸透圧の原理で塩をかけた野菜からはこんなに水分が!面倒だけどこの一手間をするとヴィネグレットソースの絡みが良くなり、美味しいコールスローができますよ。

雑巾を絞るような感じで絞ります。あんまり絞りすぎると野菜の旨味まで絞り出してしまうので手でするよりちょっと硬く絞る程度を心がけて!
■□■ 春キャベツのヴィネグレットソース和え(コールスロー) ■□■
【材料】
●早生キャベツ 1/2玉
●きゅうり 1本
●人参 1/2本
●赤玉ねぎまたは新玉ねぎ 1/4個
●コーン 80gぐらい
●塩 適宜
<ヴィネグレットソース>
●酢 大1
●塩 小1
●胡椒 少々
●サラダ油 大1
●砂糖 ひとつまみ
【作り方】
①野菜を切る。キャベツは千切りにし、塩小1/2〜1をまぶす。
きゅうりは皮を3筋ぐらい剥いて小口切りにし、塩小1/2〜1まぶす。
人参は2cm長さの千切りにし、塩小1/2〜1まぶす。
赤玉ねぎは細く千切りに。
②さらしを水に濡らし、硬く絞る。
①をそれぞれ絞り、ボウルに入れる。(絞りすぎないように!)
コーンも入れる。
③ヴィネグレットソースを作る。
酢で塩を溶かす。溶けたら胡椒、油を入れる。
(塩は油が入ると溶けにくくなるので必ず酢で溶かしてから。)砂糖はお好みで。
④ ②を③で和え、器にもる。

野菜を絞ったら量がこんなに減りました!あとはヴィネグレットソースを絡めるだけ。この一手間で時間が経っても野菜から水が出てくることもなく、美味しくいただけます。そのままサラダとして食べてもよし、パンに挟んでサンドイッチにしてもよし。5人家族の我が家はレシピの倍の量を作りますが、あっという間になくなってしまうほど人気です。

■春キャベツのヴィネグレットソース和え
春の野菜は柔らかくて水分たっぷり。塩けがあるとすぐに水分が出てベチャベチャになりがちです。下ごしらえで余分な水分をあらかじめ出しておけば美味しいコールスローができますよ。少し早めに作って器ごと冷蔵庫で冷やしておきましょう!
つづく・・・
>>>次回は4/2頃に更新予定です。
●文・写真/高木尚子
■■プロフィール■■
●高木尚子…家庭料理愛好家
20代から約30年間、料理研究家・桧山タミに師事。
『97歳料理家桧山タミ先生の台所おさらい帖』(文藝春秋/2023年発行)で料理を担当。
2023年博多大丸で開催の『桧山タミ台所展』企画・主催メンバー。
雑誌にレシピ提供、不定期に料理教室開催。3児の母。




