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column

February 16, 2025

シャッター音を傍らに
scene57 【2月】新幹線に乗って

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

夜明け前の車窓より




【2
月】新幹線に乗って

今年に入ってから新幹線で移動することが多く、主に関西方面へと足を運んでいる。
僕は新幹線に乗るのはあまり好きではないので(速すぎるし)、
いつも車内での2時間少々の窮屈、退屈な時間をどのように過ごすか、
いろいろと打開策を試しているけれどなかなか妙案は見つからない。

ただ先日は始発に乗ったので、夜明け前の車窓をスローシャッターで撮影したりしてまあまあ楽しむことができた。
日が昇ると再び退屈になったけれど。
これからも様々な打開策を試していこうと思う。

普段はカレンダー撮影の仕事で自然風景の中でとても分かりやすい写真を撮ることが多いので、
このような大都会へ出張はとてもいい刺激になっている。
たまには九州を出ることも大事なのだ。
日本を出ることが大事だなんて言っていた20代の記憶ははるか彼方…。



よく分からないのが面白い


先日宿泊した神戸のホテルのカーテンを開けると、
真向いのビルのガラスに映る「神戸ポートタワー」の赤い姿が青い夜景に浮かび上がっていた。

僕の母校である福岡大学建築学科の多田教授が設計を担当した神戸のシンボルだ。
僕が大学生活5年目の春(4年ではなく…)、進路指導を担当されていた多田教授に呼び出されたことがあった。
当時の僕は建築の世界にまったく興味を失い、就職もしないと決めていたのだった。
そんな僕に多田教授は「やり方次第では建築はとても面白くなるんだけどねえ、ちょっともう難しいのかなあ」と
困ったような表情を浮かべていた。
何だか僕は申し訳ないような気持ちになったけれど、興味を持てないものはしょうがないからどうしようもなかったのだ。
多田教授とのお話はその時の数分のみだったけれど、
神戸ポートタワーを見るたびにあの時のとても些細なやり取りを思い出す。


神戸のホテルの窓より



関西での仕事の合間、休憩時間に撮影に出ることがよくある。
色合いを変え、画面をマシカクにしたりして仕事モードからの気分を切り替える。
都会のビルを見ただけで感動できるなんて、僕もここ数年はずいぶん田舎に親しんできたなあと思う。


駅を出てすぐ見上げれば



先日まで撮影していた九州の雪山とはまるで別世界だけれど、この振れ幅の大きさがとても大事だ。
自然風景ばかりを撮影していると、慣れが生じて感動は次第に薄らいでゆく。
時々こうやって大都会の空気感を肌で受け止めると、逆に大自然の素晴らしさも見えてくる。
このバランスがとても大事だ。
もちろん福岡市でもいいかもしれないけれど、
やはり新幹線で遠くに行って知らない風景を見聞きして感じることは、慣れ親しんだ街ではなかなかできない。



大阪駅付近を見下ろす

 

気になる窓


神戸に残るとても古いビル

 

神戸ポートタワーを見て懐かしい時間を思い出したり、
知らない街の空気に包まれながらシャッターを切るという、あのなんとも言えない気分の高揚。
これからもこういう時間を心待ちにしていれば、新幹線の窮屈、退屈などは取るに足らないちっちゃな事に思えてくるはず。

次の新幹線楽しみ!


梅田スカイビルにて

 



●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →