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column

February 25, 2024

シャッター音を傍らに
scene47 【2月】新春の小さな出来事

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

佐賀 牛津梅園より




【2
月】新春の小さな出来事


立春を過ぎ。梅の撮影に各地を巡っていた。
新春という言葉はやはり旧暦の方がしっくりくる。
ここから新しい季節が始まるという感覚も旧暦のほうがより強く感じられる。
そうなると梅は新年を迎えてすぐに咲く花になるので、陽射しに輝く紅梅白梅を追いかけていると、
自分自身の気分の切り替えも明るい方向へと向かっているような気がしてくる。



北九州 三岳梅園にて

 


鹿児島、宮崎方面を撮影する際によく利用する霧島連山麓の温泉宿がある。
珍しくまだ明るい時間に到着すると、宿の方から「あー、お久しぶりですねー」と笑顔で言われてしばらく立ち話をした。
いつも遅くの到着だったのでせわしくチェックインしていたのだが、余裕があるとコミュニケーションが生まれるものだなあと実感。
覚えてくれているとは思ってもいなかったので、とてもうれしい出来事だった。
これも新たなる季節のいい兆しなのかもしれないなあと思いながらチェックインし、しばらく近くの田舎道を散歩。


いつも真っ暗だったから分からなかったのだが、宿の裏には高台があり、そこが広大な公園になっていた。
そしてそこから霧島連山が一望できる。
この宿が霧島の麓ということは知っていたけれど、山々が遠望できることさえ知らなかった。
ちょうど朝日が昇る方向だったので、次の日さっそく朝日を撮影。




雲海の向こうに霧島連山


そして梅の撮影へと車を走らせた。
鹿児島からはじまり、宮崎、熊本を巡る。
いったん福岡に戻り、北九州、筑豊、佐賀とめぐり最後に大分へ。



紅梅の先に高千穂峰

人吉梅園

大分 大山町にて



今年も多くの梅の花を撮影することができた。
終わってみればあの温泉宿での一言から新春の旅は始まったような気がしている。

何となく明るい気持ちにさせてくれる小さな出来事が、気分を多少なりとも盛り上げてくれて結果的にいい流れになってゆく。
もちろんそれは気のせいだろうけれど、この「気のせいかも」という気付きを大切にしながらこれからも旅を続けていこうと思う。
そんな流れで食べた今年初のパンケーキは、美味しくて目がウルウルするほどだった。宮崎でのお昼ごはん。



見渡すと男は僕一人


 


●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →