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column

September 23, 2021

いいにおいのする台所研究所
第31回 「誕生日にはケーキを焼くの」前編

ワクワク。

場所の名前は、「いいにおいのする台所研究所」。
ここで私が皆さんと食べものの話をするのです。
誰に気兼ねすることなく、
最初から最後までずっと食べものの話をするのです。

ドキドキ。

ここでしばらく時間をかけて趣旨説明をします。
これを読んで、そういうことなら私も食べものの話をしに行きたいな、
と思ってくださったらば、あなたもどうぞスタジオへお越しください。
by natsuko kawakami






31
)「誕生日にはケーキを焼くの」前編


夫の誕生日は6月、息子は9月だ。
我が家の誕生会では主役の好物を並べるのが常で、ケーキは私が焼く。

息子はとりあえずエビを揚げておけば喜ぶ。不可解なのは「ソーセージの山盛り」、これも定番のリクエストだ

12歳になった今年、例年とちがったのは、フォークやナイフのジェスチャーと共に「肉を焼いてほしい」というご要望。男子なんだね

大人チームには『THE BREWMASTER』(福岡市城南区別府)でクラフトビールを何本か

息子にはクラフトつながりで流行りのクラフトコーラ。大人味だけどグイグイいった

 

毎年、息子にどんなケーキが食べたいか希望を聞く。
家に山ほどあるお菓子作りの本を渡して「どれでも選べ」と見せるのだ(強気)。

そうすると、大体こちらが希望しないものを提示してくる。
パリブレストというシュークリームを詰めたリングシュー(シュー生地ヘタクソなんだよね…)や
バナナとチョコレートクリームのケーキ(チョコとフレッシュバナナの組み合わせはワタシちょと苦手)や。


2017年の誕生日。バナナとチョコクリームのケーキは男子チームの好物。食べてみると意外といけた。このときも、上にシュークリームを乗せて、という厄介なリクエストがあった

 

しかし主役のおっしゃること、つべこべ言わずに毎度作ってみる。
すると普段避けてやらないことだから何かしらの発見はある(シュー生地もだいぶ上手になった)。

 

2019年に作ったのがこのパリブレスト。パリブレストはでかいリングシューと、エクレアサイズのシューやミニシューで組み立てていくのだ



ホールケーキを焼く。
そのためのちゃんとした材料を揃える。
調べる。シミュレーションする。挑戦する。仕上げる。
家族の誕生日は私にとって、なぜか鍛錬の場となっているのだ。

2020年、息子のリクエストでフルーツモリモリのショートケーキ。フルーツの層を3段に。いちごはないけど、秋はフルーツの季節だ

 

今年は珍しく「おかあさんに任せる」と言われた。

よっし。そんなら巷で噂のシャインマスカットを使った生ケーキだ。
理由は特にない。強いて言えば高級だから〜。お誕生日だもの。


手始めにヤホーで「ケーキ」と画像検索する。
市販のもの、レシピが紹介されてるもの、とにかくたくさん出てくる。
食べたいもの、ではなく、作ってみたいもの、という視点で選ぶ。

その中で、今回気になったのが「フレジェ」だった。
2枚のスポンジでカスタードとバタークリームを合わせたものとイチゴ挟むやつ。
いちごの断面が全部こっち向いてるやつですよ。
トップには大体ベリー系のジュレが流し込んであり、
フルーツや生クリームで飾られている。


大量のフレジェをご堪能ください
https://search.yahoo.co.jp/image/search?rkf=2&ei=UTF-8&fr=wsr_is&p=%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7

 

9月にはケーキの王道であるいちごのよかとが手に入らないのがいつも残念なのだが
これをシャインマスカットでやるのはどうだろう。むふ。
トップはキウイかなんかで色をつけたジュレにしてもいいし
シャインマスカットの薄切りを並べて、透明のジュレで閉じ込めてもいい。

……あああああっ。
いかん。
生クリーム頼んだんだった。
オーム乳業の48%を2パック、生協で。

むぐぐぐぐぅ。フレジェじゃ生クリームは使わない。

しかしもうワタシの頭の中は、
シャインマスカットの断面が見事に全員こっち向いたフレジェでいっぱいだった。
社員全員だ。


作り〜たい。
作れ〜ない。
気持ち裏腹〜。
他のケーキ作れれば〜いいのだけれど〜
それはちょ〜っとで〜きない〜相談ね〜。

仕方ない。
フレジェを生クリームで仕立ててみせる。
(後編へ続く)




つづく・・・
>>>次回は10/5頃に更新予定です。


前の記事を読む>>>『いいにおいのする台所研究所』



●写真・文/川上夏子

■■プロフィール■■

●川上夏子(かわかみ・なつこ)
1974年福岡生まれ。グラフィックデザイナー。ではあるけれども、著作があり、スタイリングもやるし、料理家さんの日雇いアシスタントもやります。
日々マッキントッシュの前に座りながら、頭の中はほぼ「何を作り何を食べるか」でいっぱいであります。
アラフィフの入り口に立ち、いよいよ人生の総まとめとして「食べものの作り手」として本格的に仕事をしていきたいと考えています!趣味は健康管理。
[著書
『小夏を探す旅』(2020年)
『ぼくらのいえができるまで できてから』(2016年)
『福岡のパンとお菓子の小さなお店』(2013年)
『福岡のまいにちごはん』(2012年)