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November 06, 2018

BROOKLYN⇔FUKUOKA ~クリエイティブの現場から~
トークセッションルポ 2018.07.27

 


『BROOKLYN⇔FUKUOKA』
~クリエイティブの現場から~
 

NYの工業地帯から生まれ変わった
クリエイティブシティ「ブルックリン」と、
商業の街、アジアの玄関口とも言われる「福岡」。

さまざまなモノ・コトが生まれ、躍動・変化するこの2つの「街」を、
ライフスタイルや人、店、環境、モノづくりの視点から
語り、繋ぐ、トークイベントです。

 


  
  
「ブルックリン」「福岡」に愛と縁のある
エディター&建築デザイナーが本音でトーク


稀に見る猛暑。
文字通り熱い夏となった7月、金曜日の夜に、
『BROOKLYN⇔FUKUOKA』を掲げたトークセッションを行ないました。
(ルポアップが秋になっちゃってすみません/汗)

会場は、CODE STYLE(コードスタイル)が運営する『SHOW ROOM』

話し手は、ライフスタイル、トレンド、グルメ等、
ニューヨークの“今”を現地取材・発信している、
福岡出身、ブルックリン在住の編集者・安部かすみさん。

福岡・建築デザイン界の風雲児。
欧米テイストをたくみに取り入れたスタイルで人気を博す
CODE STYLEの取締役・徳永昌弘氏さん。

進行役は『MADE IN…』編集長である私、
伊藤尚子が務めさせていただきました。

 

会場はCODE STYLE 『SHOW ROOM』。この日はイベントに合わせて『LABO’S BAR』(※1) も開催

話し手・安部さんの著書『NYのクリエイティブ地区 ブルックリンへ』

オリジナルの家具やパース等、CODE STYLEの仕事がわかる空間

スタッフ・伊藤 大さんによる feat.BROOKLYNなDJでテンションもUP

バーカウンターでお好みのドリンクをチョイス。本日はブルックリンラガーの姿も!

程よく場が温まったところでトークセッション・スタート


 
トークセッションは、
「そもそも、ブルックリンってどんなとこ?」から始まって、

*どんな街でどんなものがあるの?

*ブルックリンにあって、福岡にないもの(またはその逆)。

*ブルックリンのクリエイティブ

*「ブルックリン⇔福岡」でできること、可能性について
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と、ブルックリン&九州・福岡に特化した内容に。

以下、トーク冒頭の雰囲気をチラっとお伝えすると・・・
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ブルックリンと北九州は似ている!?

客席:たとえばブルックリンを日本でいうと、どういう町に近いイメージですか?

安部:ブルックリンって長らく工業地帯だったんですよ。
そして暗黒の時代というか…ギャング抗争など、治安の悪い時代があった。
そのような背景は私の出身地・北九州にちょっと似てる(笑)。
門司港なんかも似てるかな。倉庫跡地を改造して、今、おしゃれな感じに。

徳永:そうですね、音楽ホールに変わったりとか、あ~、イメージそうかも。

伊藤:ブルックリンに住んで危ないことは?

安部:今、トータル11年くらい住んで、危ない経験は、
来て間もない頃、家に泥棒が入った以外は特にないですね。
ま、住民なので、行っちゃいけないエリアもわかってるので。
そういうところは本(※2)にも載せてないです。主に東の方。
でも行ったら「あれ?ここちょっとおかしいって」誰でもわかると思います。

徳永:なんか空気おかしいぞ?」ってね。たしかに行った時、ちょっとありました。

 

NY在住歴16年。住民として、また日々の取材を通して知るブルックリンの「今」を語る安部さん

建築、デザイン的な観点をはじめ、アーティストとしてもブルックリンの魅力を感じている徳永さん



蔓延するBKLYNスタイルに喝!
ブルックリンの真骨頂とは?

伊藤:徳永さんは何年前に行かれたんですか?

徳永:2、3年前ですかね。

伊藤:その時はブルックリン中心に?

徳永:いえ、とりあえずニューヨークに行こうと。とりあえず見ときたいよね、と。
空港がケネディなんで、宿をとる時もブルックリンの近く、
マンハッタンに渡れるギリギリのところにとったりして。
ブルックリンはやっぱり、住宅やってたりすると「見とかないといけないな」というのと、
僕が個人的に中学生の頃から持ってる、アメリカのイメージっていうのがあって。

伊藤:早かったですよね。CODE STYLEさんが、
今で言う「ブルックリンテイスト」みたいなものを始めたのって。
今やホントにもう、ある意味蔓延してるくらいに人気のスタイルなんですけど。

徳永:うん。でも僕らはブルックリンスタイルとか思ってなくて。
要望や案件に応じて、アメリカに限らず、ヨーロッパやいろんな要素を混ぜています。
これは(ブルックリンに)行って思ったことでもあるんですけど、
アメリカって国が、ああいうレンガだったり鉄だったりしてるのって、歴史的にまだ浅いじゃないですか。
もともとはイギリスが持ち込んできたものだったりするし。

伊藤:そうですね。
 
徳永:それ(本物)が残ってるってなると、やっぱりロンドンだったりするんです。
で、ブルックリンのはそれに近いんだけど、もうちょっと雑っていうか…、
手作り感があるというか。なんかそういうのが逆にカッコ良かった。

安部:雑…、確かにそうですね(笑)。
 
徳永:そう、いい意味で(笑)。

安部:その雑さが味になってるってのがありますよね。
なんていうか手触り感があるというか。

伊藤:インダストリアルみたいなぶっきらぼうさ、手仕事的な雑感、みたいな?

徳永:そうそう。わざわざ作ろうとしてない感がある。
「こうなっちゃったんだよね」みたいなのがあるんです。

伊藤:すごくいいじゃないですか、ソレ(笑)。

徳永:それが逆に、行ってみてわかったというか。
「ああ、僕らがカッコイイと思ってたのは間違ってなかったな!」ってはありました。

伊藤:再確認ですね。

徳永:はい。

安部:歴史の部分が大きいんですけど、移民が作った町なので。
イギリスもそうですし、ドイツとかオランダとか、アイルランドとか、
いろんなところからいろんな人が来てるので、そこから発展して。

徳永:そうですよね。なんかわかんないですけど…、
日本で今言われてる、そういう仮に「ブルックリンだ」って
言われてる色味ってあるじゃないですか。なんとなく。
僕が行った時には、そういうの全然関係なかったです。
勝手なイメージを日本人が持っちゃってるな、と思った。
もっとポップな色もあるし。
例えば照明とかでも、黒ばっかりじゃなくて、いきなり赤がバーンてあったり…。
そういうアーティスティックなところが多いですよね。

安部:はい、多いですね。

徳永:ね、多いですよね!

安部:一口にブルックリンスタイルって言っても、素材一つにしても、古い木やレンガ、メタル、コンクリートから、鮮やかなグリーン、カラフルな壁画などまでさまざまです。

徳永:なんか新しい文化を上手く入れてるなって感じました。
共存してるところがすごくあるな~と。
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ピックアップされたPhotoを見ながら

アルコールを楽しみつつも真剣。中には「来週からブルックリンに行く」という人も



 
ブルックリンらしさ、福岡らしさを大切に

この後、話はより具体的に。

ブルックリンスタイルを語る上で外せない『Wythe Hotel(ワイス・ホテル)』の話、
レンガ造りの倉庫跡地をリノベーションし、
2017年にオープンした複合施設『Empire Stores(エンパイア・ストアズ)』の話、
瀟洒な建物・ブラウンストーンの話、そのほかブルックリンのトレンドなど。

そしてアメリカ人がブルックリンで始めた日本酒づくり『Brooklyn Kura(ブルックリン・クラ)』のことや、
日本人が鹿児島で作って、ヨーロッパの品評会でトップを獲るなど、高く評されている『マルスウイスキー』のこと、
ミックスだったりコラボたったりオマージュだったり、、、
既成概念を壊したものづくりの現場についてたくさんの事例が語られました。

面白かったのは、トークの合間にも
客席からの質問や意見が飛び出したこと。

「クリエイティブについて語る」というテーマでもあったことから、
ブルックリンに興味がある方はもちろん、
クリエイターやエディターの方々も多く、
会場の皆さん、積極的な姿勢で参加していただきました。

 

ブルックリンの日本酒『Brooklyn Kura』について話す安部さん

多少脱線もしつつ盛り上がるトーク

 


今回、キーワードとして念頭においていた
インダストリアル、工場、倉庫、
リノベーション、再生、サステイナブル、
職人、アーティスト、クリエイター という言葉。

そして会の終盤に出てきた「アップサイクル」という考え方。

これらは、安部さんの著書(※2)とCODE STYLE、
モノ・コト・マガジンである『MADE IN…』の
共通項と思えるワードを抜き出したものだったのですが、
「BROOKLYN⇔FUKUOKA 」のこれからを考える上でも、
共通し得るテーマだと思っています。

 

ブルックリン生まれ&育ちの友人の祖母に、
Are you originally from New York?(ニューヨーク出身ですか?)と尋ねると
No,I’m not. I’m from Brooklyn!(いいえ、私はブルックリン出身ですよ)と答えたそうです。
~安部さんの著書『NYのクリエイティブ地区 ブルックリンへ』 より~
 
そこにブルックリンの人々の強く稀有なアイデンティティを感じたと、
安部さんが話していました。

「製造業、造船業で栄えたブルックリンなんですけども、
 やはり、もの作りや手作りのDNAがブルックリンには残ってるな~と思っていて。
 今はもうなんでも手作りするんですよ、少量生産で。

 洋服、バッグ、革製品とかなんでも…
 リップバームとかスキンケア用品とかもね。
 そこに“MADE IN BROOKLYN”って書かれてるんです。
 ブルックリンの人って、俺たちブルックリン出身なんだって自慢するので(笑)。」

と安部さん。

「MADE IN USA」や「MADE IN NY」とは謳わず、ブルックリン製だよ、と。

 

ブルックリンから安部さんが送ってくれた「Baked in Brooklyn」と謳ってあるピタチップスのパッケージ

 


福岡の街やものづくりにも、時には「JAPAN」を超えて、
「九州」「福岡」と打ち出していける気概や土壌が必要ではないでしょうか。
それにはオリジナリティが不可欠です。


ブルックリンらしさを理解し、福岡らしさを大切にしながら、
2つの街の懸け橋となれるような何かを探る・・・
そんな感じの第一回となりました。

たとえば、福岡発、ブルックリンのクリエイティブシーンを巡るツアー!
たとえば、ブルックリンの作家と福岡の作家の交流の機会・場をつくる! などなど。

できるといいなと、私も妄想しています。
※実際に安部さんのもとには、すでにブルックリンツアーのオファーがあって、
いくつか実行されたそうですよ。(安部さんのブログ記事はコチラ →☆


イベントを終え、また次の機会を!という話しになりました。
「BROOKLYN⇔FUKUOKA 」の間に芽生えた小さな野望が、
ゆっくりでも大きく育って、少しずつ実現できればと思っています。
 

 

(※1) …『LABO’S BAR』とは
 CODE STYLEが運営する『SHOW ROOM』で、毎月最後の火曜日だけオープンする
「Whiskey and soda」と「映画音楽」をテーマにしたスタンドバー。
(※2) …『NYのクリエイティブ地区 ブルックリンへ』
安部かすみ 著。古いものを大切にしながら、新しいものを取り入れ、
独自のカルチャーを発信し続けるブルックリンの「今」が詰まった1冊。

 

 

トーク終了後は歓談タイムに

来場者同士で話し込む姿も

話し手同士も意気投合。次回はまだ未定ですが…決まったらまたインフォメーションさせていただきますね。ご来場くださった方々、どうもありがとうございました!




CODE STYLE×MADE IN…
BROOKLYN⇔FUKUOKA
~クリエイティブの現場から~
[日付] 2018年7月27日(金) ~終了しました~
[時間] OPEN 19:00/CLOSE 24:00
[会場] SHOW ROOM (福岡市中央区薬院1-6-16) 
[料金] 無料 (要1ドリンクオーダー)  
   

◎CODE STYLE WEB →

◎安部かすみ WEB →


 
  
■■話し手:プロフィール■■



●安部かすみ
北九州出身、NY在住16年、うちブルックリン在住歴10年目の編集者。
福岡のタウン情報誌を経て、2002年にNYへ。2007年より新聞社のシニアエディター職に就き、2014年に独立。
現在はニュースサイトや雑誌で、ライフスタイル、トレンド、グルメ情報を中心に発信中。翻訳家としても活動。
今年3月、ブルックリンの“今”&クリエイティブシーンを取材した『NYのクリエイティブ地区 ブルックリンへ』をイカロス出版より発行。
  
   




●徳永昌弘
福岡を中心に、住宅・店舗のデザイン、リノベーション、オリジナル家具の製作を行なう『CODE STYLE』専務取締役。
最近ではホテルや幼稚園など、より公共性の高い施設のデザインやプロデュースも手掛け、全国へとその活動の場を広げている。
また、欧米のクラシカルな雰囲気が人気のサインペインティングなど、個人としても活動。アーティストとしての顔も持つ。

 

文/伊藤尚子
写真協力/佐々木麻実、田中慎一郎(CODE STYLE)