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鋸刃の背中を使い、カップの表面を削って製作した「ガザガザシリーズ」(カップ2310円~)。「ろくろを引いた跡が気になって削ってみたら、たまたま味が出たんですよ」。人気の「ホウロウシリーズ」にはバット型の新....

鋸刃の背中を使い、カップの表面を削って製作した「ガザガザシリーズ」(カップ2310円~)。「ろくろを引いた跡が気になって削ってみたら、たまたま味が出たんですよ」。人気の「ホウロウシリーズ」にはバット型の新作もできた。プレート4寸1575円~。レート…。独立して8年。遊びがあって優しい表情をした器が吉田さんの作る陶器の特徴でもある。この町で生まれた吉田さんは、陶磁器の生地工場を営んでいた父親の背中を見て育った。高校を卒業後、いったんは会社員を経験したものの、家業を手伝う中でものづくりの世界へ入る。有田の窯業学校に進み、熊本の陶工のもとで2年間修行。独立心が芽生えたのは、その後、地元のロクロメーカーに入ってろくろ士として働き出した頃から。「窯元での修業時代は20代と若かったのもあって、まだまだ仕事の面白みを掴めていませんでしたね。大量生産の器を割り切って作っているうちに、自分らしい焼き物を作りたいという思いが強くなっていきました」。独立後は少しずつ、器を扱うギャラリーのほかに雑貨店からの注文も入り、マイペースに仕事をしてきた。現在はクラフトフェアへの出展と個展の磁器の産地で知られる長崎県・波佐見町。道道に器の店が立ち並ぶ中心街から外れた閑静な場所に、陶芸家・吉田健宗さんの工房はある。実家の横にあった工房から引っ越して半年余り。「越してからわかったんですけど、ここ、窯の神様らしいんですよ」と吉田さんが指さす先に、小さな神社が目に入る。焼き物の神様に導かれたのだろうか。隣りにあるお社は、まるで吉田さんの仕事姿を見守るかのように工房に面して向いている。伺った日は、大阪・堺で行なわれるクラフトフェア「灯しびとの集い」への出品が間近に迫る頃。仕事場には、素焼きされた器がずらり、窯に入る順番待ちをしていた。作業場の奥には、展示スペースが設けられている。白地に青い縁取りをした琺瑯のように見える丸皿や四角い器、生地にひっかきの細工を施したガサガサシリーズと呼ぶカップ、粘土の塊からくり抜いて形にしていく楕円や正方形の粉引プ43