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スタンリー・キューブリック監督によって1968年に撮られた映画『2001年宇宙の旅』。約半世紀前に想像された(当時から見て)数十年後の近未来の姿は、今もまだ新しい輝きをもって僕の脳裏には焼き付いています。その....

スタンリー・キューブリック監督によって1968年に撮られた映画『2001年宇宙の旅』。約半世紀前に想像された(当時から見て)数十年後の近未来の姿は、今もまだ新しい輝きをもって僕の脳裏には焼き付いています。その映画のなかで、宇宙船ディスカバリー号にのった科学者たちが食事をするシーンで使っていたのがこのカトラリーです。このカトラリーを作ったのはアルネ・ヤコブセン(1902?1971)。スタンリー・キューブリックと並び、一度はその名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。デンマークが生んだ偉大なる建築家でありデザイナーです。彼がデザインした「アントチェア」や「セブンチェア」などのシリーズは世界で最も売れた椅子としてギネスブックに記録されています。また、彼が建築から内装まで全てのデザインを行なった『SASロイヤル・ホテル』も有名で、その際にデザインされたという「エッグチェア」や「スワンチェア」は、今でも高級チェアの金字塔として高い人気を誇っています。そんなヤコブセンが、1961年に発表したこのカトラリー。象徴的なのはスープ・スプーンに右利き用と左利き用の両方が存在することです。左右非対称のそのスプーンは、まさしく近未来の世界を想像させたフォルムとしてキューブリックの目にもとまったのでしょう。ユニバーサル・デザインというコンセプトが謳われるようになったのは1970年代のこと。驚くことに、ヤコブセンのデザインはそのずっと以前から既にユニバーサル・時間軸を超えて色あせないデザインユニバーサルデザイン鑑定家兼鍛冶職人見習いの浅草ケンヂがバリアフリーでもユニバーサルでもない、「思いやり」デザインについて講義します。アルネ・ヤコブセンが余計な装飾を削ぎ落してミニマリズムを追求したステンレスのカトラリー(ジョージジェンセン製)。左からディナー・スプーン2730円、ディナー・ナイフ3150円、ディナー・フォーク2730円、そして左右比対称のスープ・スプーン2940円(写真は右利き用)42