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column

August 21, 2018

ひとしずくの台湾 ーMade in Taiwanを探しにー
drop02 不老部落でほろ酔いday trip

福岡市在住フリーランスライターが綴る
「Made in TAIWAN」をテーマにしたアレコレ。
仕事でもプライベートでも、何度でも訪れてしまう台湾の魅力を
ゆるゆると発信します。
by arei maeda

オープンなキッチンで調理の準備をするタイヤル族の女の子

 



drop02 不老部落でほろ酔いday trip

 

8月の台湾。といえば、七夕と中元節が主な行事。

旧暦の七夕は、今年は17日にあたり、
チャイニーズバレンタンとも呼ばれ、バレンタインやクリスマス同様、
男性から女性に花束やキャンディなどの贈り物をするのが恒例だそうです。

日本のように、願い事を書いて笹飾りしたりはしないとか。

日本のお盆にあたる「中元節」は、下界をさまようあらゆる霊魂を沈める行事。

鬼の門が開く日から閉まる日までの約1カ月の期間、
廟や家庭、お店の軒先でも香が焚かれる光景が見られ、
老若男女その信心深さに驚かされることも。

台北から南東にある宜欄県では、お供え物を奪い合い、
霊を追い払う搶孤(チャングー)という儀式が盛大に行なわれます。

さて、今回お届けするのは、そんな宜欄を訪れ、体験した
原住民・タイヤル族の伝統文化に触れる、とっておきのデイツアーです。

台湾にいる認定原住民は16部族。
台湾の総人口の2%ほどとのことですが、タイヤル族は北部〜中央の山岳地帯に暮らし、
勇猛な狩猟部族として知られていたようです(「昔から住んでいた」という意味で先住民は自らを原住民と呼ぶことから、ここでは原住民と呼びます)。

不老部落という名前とサイトの雰囲気に惹かれて申し込んでみたツアー。
半日ほどの滞在の中で、昔ながらの生活や文化、食を体験できます。

ちょっとハードルが高いのですが、まずサイトから予約をして日程を決め(英語可)、
台北からバスに乗って羅東駅へ(1時間半ほど)。
そこからはタクシーを利用して(約30分)、寒溪派出所(警察署)の前で待ち合わせます。

待ち合わせ時間より早く到着したので、辺りをぶらぶらしていると、
お孫さんを連れた女性やおじいさんが日本語で話しかけてくれたりも。
身振り手振りで交わす会話の中に、「高砂族」(日本統治時代、原住民は高砂族と呼ばれていた)
という言葉も飛び出します。

 

 

タイヤル族のマークである目の紋様。この橋の向こう側の山奥に不老部落が

 

 

話に夢中になっているうちに、迎えのジープやバンが到着。
別れを告げ、車に乗り込み、
川向こうの山の中腹、400mほどのところにある部落まで、険しいがたがた道を上っていきます。


 

原生林茂る山中、部落の手前で下車し、そこから先は徒歩。
道々、猪用に仕掛けた罠や椎茸を栽培する様子を見せてもらったりしながら進んで行くと、
目の前にパッと平野が広がりました。

「ロカスー!」
特有の挨拶で迎えてくれたのは、赤い民族衣装を身に着けたタイヤル族の人たち。
遠くに、茅葺き屋根と竹組みでできたオープンスタイルの家屋が見えます。

 


  
   
到着した途端、差し出されたのはウエルカムドリンクならぬウエルカム焼豚!
囲炉裏を囲み、長い竹串に刺した山猪肉を炙っていただきます。

合わせて、粟を原料に醸造した小米酒も初体験。
微発酵の爽やかな味わいは飲みやすく、これは杯を重ねてしまいそう…。

食べ終わった後は、村の中をオリエンテーション。
鶏やヤギのいる野原や池、小米酒などを醸造する貯蔵小屋、
女性は伝統の織物、男性は木工でものづくりする家屋などをぐるり、見学します。

 

織物と刺繍の文化を持つタイヤル族の女性たち

 

ひと通り案内してもらった後、テーブルに着くと、宴のはじまりです。

織物、竹筒、カトラリーなど手製のアイテムが並ぶスタイリッシュなテーブルコーディネート

 

料理に使われている自給自足の伝統菜や食材の説明から始まり、
食事の合間合間には伝統歌舞や口琴を見事に披露。
この場にいるみんなで一緒に盛り上がります。

 

食事中、ノンストップで注がれる小米酒。グラスに蓋をかぶせると、一休みの合図になります(笑)


 

コース仕立てで出てくる料理の一部。シンプルで美しく、素材のおいしさ、鮮度のよさが伝わるものばかり

 

晴れていれば、屋外でレクリエーションも。
弓矢体験や餅つきなど、天候や季節によって内容は変わります。

実は、ここを訪れるのは2度目。
初めて行った時は、部落の創設者である潘さんが英語で案内してくれました。

潘さんのパートナーはタイヤル族出身。
自然とともにある部族の伝統的な暮らしや文化に触れられるようにとかたちにしたコミュニティは、
美しくゾーニングされ、一角にはモダンな木造建築の住居もあります。

聞けば、潘さんは熊本の大学で造園や建築の勉強をしていたそう。
なるほど、細部まで配慮されたツアーの魅せ方も含め、そのセンスに脱帽です。

 

飲めや踊れや、ゲームでもお酒が登場

 

さて、お腹も心も満たされた頃、ツアーは終幕。
「ロカスー」の合い言葉で“バイバイ”したら、
帰りはふたたび待ち合わせした場所まで送り届けてもらえます。
ほろ酔いの中、束の間、桃源郷にいたかのような気分で帰途へ…。

 

デイツアーはエンターテイメント性にも優れていますが、
半日だけ限られた人数を受け入れる方針は、観光での収入も大事にしながら、
一定のラインを引き、原住民の誇りや暮らしを守っているように感じられました。

都会を離れ、誰もが隣り合せた人と手を取り合い、
母なる自然に還るひとときを感じてほしいとも。

 

中国から訪れた元気いっぱいのゲストたちに誘われ、記念の一枚

 

自然や祖先を尊ぶ民族のスピリッツに満ちた不老部落。

台湾原住民について深く知ろうとすれば、
悲しい歴史を描いた映画『セデック・バレ』が最初に思い浮かびます。

今では原住民と漢族の結婚や、原住民自身の生活スタイルに変化も生まれ、
民族間の共生も緩やかに育まれてきているようですが、
私たち日本人をゲストとしてあたたかく迎え入れてくれた姿勢に改めて感謝しつつ。

帰国して不老部落から届いた感謝のメールに、またも感激し、再訪を誓うのでした。

 

 

ツアー後、不老部落から届いたメール

 

 


 

#Made in Taiwan 02 
粟でつくられたタイヤル族の秘蔵酒
不老部落の古式小米酒

 

到着するや否や、注がれっぱなしの粟でできた小米酒がとにかく美味!
現地では微発泡のフレッシュから年代もののコクのある味まで楽しめます。
気に入ったら、お土産用のおしゃれな瓶詰めも。
ちょっと重たいけれど、ここでしか手に入らないレア度とおいしさは、
お酒好きにはたまりません。1本700元ほど。
 
 ■不老部落
[営業]火曜から土曜の10:00~16:30
[参加費]ひとり2600元
インターネットで事前予約を。
http://www.bulaubulau.com
   

 


●写真・文/前田亜礼


■■プロフィール■■
●前田亜礼(まえだ・あれい)/福岡市在住フリーランスライター。
大分県日田市出身。台北のガイドブック執筆をきっかけに、2009年から台湾へ。
以来、仕事の合間を縫っては気まま旅を楽しんでいます。いつかは台湾暮らしを夢見て、中国語と二胡を修業中。