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column

July 27, 2018

くじゅうの麓、白丹のルスカ scene4
【8月】 まぶしい季節

近くの田畑が朝の光に輝き始め、やがて風が緑の波となってふるい落としてゆく。


 【8月】 まぶしい季節


8月、白丹の朝。
まぶしく黄色い朝陽が雫をきらめかせ、風景が脈打つように目覚めてゆく。

鳥の歌に続き、ヒグラシの声が響く。
ヒグラシは秋の夕暮れのどこか憂いを感じさせるイメージがあったけれど、
6月の終わりごろから朝早くと夕方に鳴き始め、
森の大合唱といった感じでたくましい生命力を感じさせる。

それはくじゅう白丹での日々で知った、ほんの小さな自然の摂理。

大地に大きな瞳を開いている近所のため池は、爽やかな森と夏空を映している。
周囲の森ではミンミンゼミの声、夏の朝はとても賑かだ。

 

風のない日に空を映し出す小さなため池。僕は「大地のひとみ池」と呼んでいる。



今年のくじゅうは「とにかく暑い!」とみなさんため息混じりに言う。

集落内でも二人の方が新たにクーラーを取り付けたとのこと。
要するにこの辺りの夏は今までクーラーはいらかったということ。

ルスカでは扇風機でしのいでいるが、福岡からやって来るとさすがに涼しく感じられる。

ルスカの元郵便局にはかつて使用されていたクーラーが残されている。
およそ20年放置されているのでスイッチを入れる勇気もないけれど、
聞くところによると白丹で初のクーラーだったとのこと。

貴重なナショナル製木目調大型クーラー。今ではレトロなインテリアに。

 

かつて郵便局で使われていたエアコン。床設置型!

 


くじゅう好きの方にはもうお馴染みの方、
男池にある「ギャラリー茶屋 おいちゃん家」のおいちゃんこと
挾間田力さんのご自宅にお邪魔した。

ほんとのおいちゃんの家は白丹にある。
周囲は四方森に囲まれた築200年を超える一軒家だ。

自然や花を愛するおいちゃんは画家でもあり、
くじゅうの山々の姿を油絵や水彩画で描いてゆく。

この森の一軒家の隣に小さなアトリエを設け、
そこで無心になり創作活動を続けている。

かつてサント=ヴィクトワール山を描き続けた
セザンヌのような方がこの白丹におられるのだ。

 

白丹の森の中で芸術活動を続けるおいちゃん。



庭の木に時々ふくろうがやってくるという。
セミの声が静まった夜、宵闇にこだまする精霊の声。
白丹の夜が星の輝きを伴いやってくる。

明日もまぶしい朝になりそうだ。

森から夏の夜空を仰ぐ。

 
 
 
 

【今日のルスカ】

先月までの大雨が嘘のようなまぶしい季節がやってきた。




●写真・文/川上信也
 

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami