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May 02, 2025
季節の副菜と台所道具[第6回]
5月…あと1品って時におすすめ!ガレット
旬の食材を使って
ひと手間かけて作られた副菜は
立派なごちそう。
便利・時短が当たり前の時代ですが
家庭料理と、消えつつある優秀な台所道具たちを
ちょっと見直してみませんか?

せん突きで突いた根菜は包丁で千切りしたものよりも、ちょっといびつで、不揃いで。表面もなんとなくシャープではなくって。それが口の中に入れるといろんな歯応えの食感が楽しめる。「スライサー」なんだけど、なんか手の温もりが感じられる。とっても不思議な道具です。
第6回
5月…あと1品って時におすすめ!ガレット
お家にいつもストックしているお野菜といえば、我が家はジャガイモです。
ジャガイモって揚げてよし、煮てよし、炒めてもよしと使い勝手の良い野菜。
根菜だから栄養も満点です。
ジャガイモって、なんで「ジャガイモ」って言うか知ってますか?
ジャガイモは南米アンデス山脈の標高の高いところで生まれました。
それが15世紀の大航海時代にヨーロッパへ、
そして17世紀にはジャカルタに渡り、それが日本に入ってきました。
ジャガイモのこと、ジャガタラ芋って言うご年配の方がいらっしゃるでしょう?
あれは「ジャカルタ」からきているのです。で、ジャガイモ。
この話は私が長年師事した料理研究家の桧山タミ先生に教えてもらいました。
世界史で学んだ大航海時代にジャガイモが海を越え、時を超えて今、自分の目の前にある。
なんて壮大でロマンのある話でしょう。
ジャガイモの歴史になんだかワクワクしたのを覚えています。
師匠のタミ先生にはたくさんの料理を教えていただきましたが、
今回ご紹介する「ガレット・ドゥ・ポム・ ドゥ・テール」は、
きちんとしたレシピを教えてもらった訳ではなく、
フラッと先生のところに遊びに行った時に習った料理です。
たぶんフランスの家庭では、我々が卵焼きを作るぐらいの感覚で作る、
ありふれた、でもすごく美味しくて簡単な家庭の味なんじゃないかな。
その時に出会った道具が「せん突き」です。

昔は右のように竹で作っていたそうです。竹のカーブに沿って根菜をスライドさせるので手元が滑りにくかったようです。でも最近売っているのは左のように平らなものがほとんど。刃の数が左が多いので私はそちらばかり使っています。
せん突きでついたジャガイモは、包丁で千切りにしたものと比べるとシャープさがなく、むしろしんなり。
表面もちょっとザラザラした感じ?
長さも薄さもまちまちだし全体的に不揃いな印象です。
切る、というより削り切る、みたいな。
表面積が多いから、水分と一緒にデンプンが染み出やすいのもこの料理には最適。
デンプンは熱が加わると固まる性質があるので、それを利用してジャガイモを固めます。
本場ではガレットは「焼く」のが本式みたいなのですが、
私がタミ先生に教えてもらったのは「蒸し焼き」にするやり方。
なので今回は、タミ風ガレット・ドゥ・ポム・ドゥ・テールを、更に私流にアレンジしたものです。
■□■ タミ風ガレット・ドゥ・ポム・ドゥ・テール ■□■
【材料】
●ジャガイモ 大玉3〜4個
●塩 小1/2〜1
●胡椒 少々
●ちりめんじゃこ 大3〜4
●エビちりめん 大3〜4
●サラダ油(バターでも可) 大1
【作り方】
①ジャガイモの皮をむき、せん突きでつく(水にはさらさない!)。
塩・胡椒をして全体を混ぜる。
②フライパンを温める。サラダ油を入れ、①の半分をフライパンに平らに敷く。
その上にちりめんじゃことエビちりめんを振り、残りの①を乗せ、
蓋をして弱火でじっくり蒸し焼きする(15〜20分ぐらい)。
③全体に火が通ったらフライパンから大きな平皿に返す。
(両面をしっかり焼きたい人はひっくり返して焼いてもOK)

ジャガイモがだんだん小さくなってきたら力加減に注意して!力を入れすぎると指や爪がザックリ…(怖)。最後は無理せず包丁で千切りしましょう。

見て見て!左が包丁で千切りしたもの、右がせん突きで突いたもの。形状が全然違うでしょう?

「ガレット」はフランスブルターニュ地方の郷土料理で、平たくて丸いもの、という意味。ジャガイモだけで作るのも良し、チーズやベーコンなど塩気のあるものを挟むのも良し。今回はちりめんじゃことエビちりめんを使ってちょっと和風にアレンジしました。カルシウムも取れて栄養満点!

ケーキみたいにカットしたら存在感抜群の副菜に!せん突きはジャガイモのガレット以外にも人参を突いてキャロットラペや、しりしりを作る時にも便利。大根を突いてお節に欠かせないなます作りにもオススメです。
つづく・・・
>>>次回は6/2頃に更新予定です。
●文・写真/高木尚子
■■プロフィール■■
●高木尚子…家庭料理愛好家
20代から約30年間、料理研究家・桧山タミに師事。
『97歳料理家桧山タミ先生の台所おさらい帖』(文藝春秋/2023年発行)で料理を担当。
2023年博多大丸で開催の『桧山タミ台所展』企画・主催メンバー。
雑誌にレシピ提供、不定期に料理教室開催。3児の母。




