想いにふれる メイドイン

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column

June 24, 2024

シャッター音を傍らに
scene50 【6月】マンションの朝焼けから

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

撮影へと誘う朝焼け




【6
月】マンションの朝焼けから


朝5時半に目が覚めると、窓の向こうにピンク色の朝日に照らされたマンションが見えていた。
それを見てジャカランダの咲く宮崎県日南市南郷町へ行こうと決めた。

片道5時間の遠い所なので天気の良し悪しはとても大切だ。
この季節らしいあじさいや花菖蒲は雨のとても似合う花だけれど、
ジャカランダは輝く太陽の下、南の青い海と一緒に撮影したい。
なので朝焼けのマンションを見て、行くのは今日だと思ったのだ。
とても些細なるきっかけだけれど、世界が広がる大きなきっかけかもしれない。

朝6時半に福岡を出発。
九州をひたすら南下して横断して再び南下したところが日南市南郷町。
お昼前の11時過ぎに到着。

期待通りのいい天気で、『道の駅なんごう周辺はジャカランダ祭りで大いに賑わっていた。

 

 

ジャカランダの森


ジャカランダは満開。薄い紫の花々が山の斜面を彩っている。
この木は世界三大花木の一つで『道の駅なんごう周辺に1000本近く植えられているという。
ブラジル原産らしいけれど、フェニックスのように南国特有の明るさをさらに強調してくれる木だ。

福岡からはとても遠い場所だけれど、朝焼けのマンションを眺めて出発を思い立ち、
お昼前には到着しているのだから近いもんだと思いながら南国の陽射しを楽しんだ。


南国の眩しい風景が広がる

 

次の日からは雨。
梅雨の季節らしいしっとりの風景が広がっていた。これこそ日本の風景だ。
都城の紫陽花園でしばらく撮影。
俳句でもひねろうかと思うような情景だったけれど全く思い浮かばず、
傘をさしながら昨日のジャカランダを夢の世界のように思い出していた。
マンゴーソフトクリームが恋しい。もちろん紫陽花も好きなんだけれど。

 

紫陽花が雨に輝く



今回の旅はあのマンションの朝焼けから始まり、
南国の風を感じて雨の風景へと移り、再び晴れて花菖蒲の撮影へと続いた。


雨の湿原にて

夜明け前

朝日に輝く菖蒲園



とても振り幅の大きな風景の数々。
そしてこれこそが日本の大きな魅力なんだと再認識の6月だった。


雨上がりの山肌





●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →