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column

February 20, 2023

シャッター音を傍らに
scene38 【2月】四国高知へ

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

瀬戸大橋より



【2
月】四国高知へ



四国高知での撮影が入ったので、列車で高知へと向かった。
車でもいいかなと思っていたけれど、高知市内は先日の寒波で15センチも雪が積もったというから、
安全のため列車で行くことになったのだ。

新幹線で岡山に向かい、そこから土讃線の高知行き特急『南風に乗る。
なので博多から一度の乗り換えで高知まで行けてしまう。およそ4時間半の旅。
いつも車の移動なので列車の旅は楽しいものだった。

車窓は瀬戸内海の穏やかな海風吹く風景から始まり、ごつごつとした四国山地に入る。
阿波池田から吉野川を越え、渓谷が続く大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)をゆく。

なんて変化に富んだ車窓!。



大歩危小歩危をゆく



翌日、高知での撮影はお昼前に終了し、
それからせっかく来たのだからと高知にしばらく滞在することに。

仕事3時間、遊びは3日間という、まあよくあるパターンかな。楽しいな。



路面電車よりはりまや橋




まずは牧野植物園へ。
牧野博士が今年ドラマで描かれるというので、さらに人気の場所になるのだろう。
ここの熱帯館が好きなので何度か訪れている。

入り口付近の丸い建物内から見上げると、植物がからまった壁の先に不思議な形をした天窓があり、
柔らかい光がうっすら植物を照らしている。
この薄暗くてちょっと不気味なイメージが別世界への入り口という印象を与えてくれる。


植物園熱帯館入口



そこを抜けるとパッと明るい熱帯館。
この世界の切り替わりは写真集の編集にも役立ちそうな演出だなあと写真家らしいことも考えている(たまにはね)。
自然の森もそうだけれど、植物に囲まれていると心地いいのはもちろんのこと、
様々な創造力、刺激をいただいているように思う。



カラフルな植物世界へ



夜はしっかりカツオのたたきを食べて(これもいい刺激!)、
翌朝は大通りで行なわれている日曜朝市へ。

高知の朝市は幼稚園の頃に何度か来たように思うけれど記憶はほとんどない。
およそ半世紀ぶりにやってきた朝市はどうだったかというと、
こんなにアジア的な世界が四国高知に広がっていることに驚いてしまった。

アジア的といわれる福岡よりよほどリアルなアジアだ。
西新商店街どころではない。まるで東南アジアを旅しているような雰囲気だった。
車を通行止めにして南国の並木の下に露店は延々と続き、朝早くから多くの人で賑わっている。
カラフルな果物、地元の魚、お寿司、まんじゅう、帽子パン、大人気いも天の湯気。いいなあここは。



南国の木々の下で日曜朝市

お寿司の色合いも新鮮

 



九州を旅している時は、いつもどこかを撮影しなければという緊張感を感じてしまうことも多いのだが、
四国ではそんなことは考えなくていい。
のんびり好きなように撮っていればいいのだ、と
本来の仕事撮影の事はすでに記憶のかなたにあるのだった(もちろん仕事もしっかりしました)。

帰りの土讃線でお寿司や帽子パンを食べるのがとても楽しみな高知の夕暮れ時。

たまには九州出るのもいいなあ。



高知名物『帽子パン』

 




●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →