想いにふれる メイドイン

予防が大事。うがい&手洗い頑張ろう!

column

June 26, 2022

いいにおいのする台所研究所
連載 第46回 ついでに、私と食。~ 前編~

ワクワク。

場所の名前は、「いいにおいのする台所研究所」。
ここで私が皆さんと食べものの話をするのです。
誰に気兼ねすることなく、
最初から最後までずっと食べものの話をするのです。

ドキドキ。

ここでしばらく時間をかけて趣旨説明をします。
これを読んで、そういうことなら私も食べものの話をしに行きたいな、
と思ってくださったらば、あなたもどうぞスタジオへお越しください。
by natsuko kawakami


年末の実家にて、親戚が集まるテーブル。こういう恒例行事の風景に、〈私と食〉が凝縮されているのだろうと思う





46
)ついでに、私と食。~前編~

前回のコラムでは、「息子と食」についてお話ししました。
それでついでに私のことを書こうと、思い立ちました。
(ついでの割にこっちの方が「前・後編」と長い)

講座では皆さんと食の関わりや思い出についてお話しするので
いろんな方のご家庭でのお話や、おいしいものへの想いなどに触れることができます。
場を盛り上げられたらと始めたことですが、これがなかなかじんわりと楽しいのです。

ただ、限られた時間の中で私の話をするまでの余裕はありませんでした。
アンケートなどで質問をいただくこともあり
私と食について振り返ってみようかと、思ったのであります。


私は福岡で生まれ、父の転勤が続きましたが、大体は福岡で育ちました。

父は私が中学生の頃に始めた畑仕事にのめり込み、年がら年中大量の収穫物を実家の台所に持ち込みます。
母は私に比べて面倒くさがりで大雑把でしかも天邪鬼なので「料理が好き!」とは口が裂けても言いませんが
日々、梅仕事やお菓子、パン作り、餅つき、保存食作りなど思いつく限りの台所仕事に勤しんでいます。



父が作った野菜。近所の産直所へ出荷している

 

ご飯粒は一粒も残さず食べるように言いつけられましたし、食事中の姿勢は正しく、
テレビを見ながらの食事などはもってのほかで、どちらかというと厳格な躾でした。
ただ、頂き物のケーキなどあると親も子どもも本気でじゃんけんをして争っていました。

食いしん坊なんですね。
夫の実家で、おもたせを義母が「私はいいからあんたたちが食べなさい」などと言うのを聞いて
「ほう、これが子を思う親心、あるべき姿じゃ」と驚いたものでした。


海外生活をしていた頃は、休みの度に家族で旅行に出ておいしいものを食べました。
中学生の頃には、経験しておくべき、とフレンチのコース料理に連れて行ってくれました。
今も母はせっせとおいしいお店のチェックを怠らず、私を食事に誘ってくれます。

ただ、母は私が台所に入るのを嫌がりました。
なので私23で結婚するまで、ほとんど台所仕事をしませんでした。
たまに作るたらこスパゲティかお菓子作りくらいでした。


私は当時早朝から深夜まで続く仕事をしていましたが、暇を見つけてどんどん料理を始めました。
図書館に通って料理本を借りて、気に入ったレシピを片っ端からコピーしてファイリングしました。
料理本の写真が好きで、器も含めて本に載っているそのままを再現して楽しんでいました。

そしてその頃、『買ってはいけない』(『週刊金曜日』ブックレット)初版本に出会います。
本は夫が買ってきました。夫婦で食品添加物や合成洗剤について関心をも持つようになりました。
原材料表示を見て買い物をするようになり、石けん生活を始めました。

夫がすぐに「(私の)お母さんと味が違うね」と言い出しました。
母は博多の醤油を使っていましたし、砂糖は白で、白だしも使いました。
そもそも母から料理を習っていないから当然でした。



リフォーム前の実家の台所で節分に巻き寿司を巻く

 

28になる頃、大学卒業後に就職した会社から数えて三つ目の会社で精魂尽き果てるまで働いていました。

昼食はなんとか好ましい食事を出すところで済ませていましたが、夕食が難しい。
18時で終わる仕事だった夫と会社の近くで待ち合わせして夕食を食べ、夫は帰宅、私は会社へ戻る。
それも毎日だと出費が嵩むため、コンビニでサラダを買うか、夜遅く帰宅してから食べる。

これが本当にストレスとなっていました。
仕事は好きだけど、この食生活はいけない。
このままでいいわけがない。

少なくともこれから子どもを産んで育てることを考えれば、この生活は続けられない。
29歳で私が会社を辞めフリーになったのは、食生活を整えるため、
というのが最大にして唯一の理由でした。(続く)


つづく・・・
>>>次回は7/5頃に更新予定です。

 

o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o゚o。o゚

次のリアル講座は9月に「味噌と麹」をテーマに行う予定です。
ただいま日程大検討中!
平日がいい~!週末がいい~!
9月〇日は行けないからそれ以外で! などなど、、
積極的かつ切実なリクエストがあれば、早めにご一報ください。

o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o゚o。o゚o。o゚o。o゚o。o゚o゚o。o゚



前の記事を読む>>>『いいにおいのする台所研究所』



●写真・文/川上夏子

■■プロフィール■■

●川上夏子(かわかみ・なつこ)
1974年福岡生まれ。グラフィックデザイナー。ではあるけれども、著作があり、スタイリングもやるし、料理家さんの日雇いアシスタントもやります。
日々マッキントッシュの前に座りながら、頭の中はほぼ「何を作り何を食べるか」でいっぱいであります。
アラフィフの入り口に立ち、いよいよ人生の総まとめとして「食べものの作り手」として本格的に仕事をしていきたいと考えています!趣味は健康管理。
[著書
『小夏を探す旅』(2020年)
『ぼくらのいえができるまで できてから』(2016年)
『福岡のパンとお菓子の小さなお店』(2013年)
『福岡のまいにちごはん』(2012年)