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column

November 09, 2021

シャッター音を傍らに
scene24 【11月】 秋を巡るシャッター音

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

霧島へと向かう秋色の県道30号




【11
月】秋を巡るシャッター音


夜明け前に起きて湖へと向かう。

湯布院の朝はかなり冷え込んでいて、冬支度で撮影に向かった。
うっすらと見え始めた金鱗湖には朝霧が漂っている。

メインは紅葉撮影だったので、あまり深く霧が立ち込めていると
困るなあと思いながら湖畔でしばらく夜明けを待っていた。

この待ち時間はなかなかいいもので、
ただボーっと眺めて深呼吸しているだけで来てよかったなあと思えてくる。
もちろん動きまわっている時もあるけれど(その方が多いかな)、
この日は撮影場所をこの場所のここから、と早々に決めてしまったので、
しばらく石段に座って朝の移り変わりを存分に楽しんでいた。

うっすらと霧が湖面を舞っている。色づいた木々が姿を見せ始める。
秋の撮影はいいスタートとなった。

朝霧漂う湖面に色づいた木々が映り始める



それからくじゅう白丹に向かい、朝も昼も夕方も朝方も撮影に出かけていた。
秋はどの時間でも見所が多いので慌ただしい。

前日の湯布院での深呼吸の朝が、幻のように思えてくる。

朝の牛!

夕焼けに染まるカルデラ

秋の夕暮れ

 


撮影の合間に、写真を購入していただいたくじゅうのお店に大きなプリントを納品し、
ニュースで長崎雲仙が紅葉見ごろを迎えたというのですぐ長崎へ。

紅葉見ごろの雲仙は駐車場が大変な渋滞



いったん福岡に戻って車のオイル交換。
大橋でお店の取材を数件すませ、歯医者に行ってから再び阿蘇へと出発。

阿蘇ではキウイフルーツ農園撮影の仕事をすませ、
午後から霧島へと向かい、夕焼けの六観音池で紅葉を撮影。

帰りの登山道で鹿に何度も遭遇。
翌朝は大浪池へのトレッキングで火口池の紅葉巡り。

秋色の霧島六観音池へと向かう

夕暮れに染まる韓国岳斜面

火口池の青も美しい大浪池




えびの高原でススキ原を撮影し、ネットで見つけた温泉宿へ(いつも当日予約だ)。
他にお客さんはいないというので、貸し切り温泉!

宿の庭に貸し切りの温泉!



いったん撮影のノルマ達成。
いい撮影にいいシャッター音、そしていい湯。
秋の慌ただしさは硫黄の香りと共に、心の落ち着きへと結びついてゆく。

翌朝は、やっぱり撮影に。

温泉宿近くの高台から遠く桜島が見えた

 

 


●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →