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column

October 08, 2021

シャッター音を傍らに
scene23 【10月】 旅先の早起き

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

久住高原で朝日を




【10
月】旅先の早起き


ちょっと世の中が落ち着いてきたこともあり、しばらくくじゅう白丹に滞在している。
あまりにも草ぼうぼうだったので草刈りもかねてやってきたのだった。
静かな夜に一人でマイルズ・デイビズを聴きながらこの原稿を書いている(カッコよすぎるな)。

先ほど玄関を出ると星空が広がっていた。
どれがどの星座なのか確認できないほどの散りばめられた淡い光の中に、
天の川がうっすら横たわっている。
かつてこの久住高原からは種子島のロケット打ち上げの煙も見えたという。

澄んでいるなあ。

できればしばらく外の椅子に座ってハイボールでも飲んでいたい気持ちだったけれど、
原稿の締め切りをすっかり忘れていたことに気が付いてしまい、
こうやって星空をあきらめて原稿を書き始めたのだった。
「星空をあきらめて」なんていう詩ができそうだ。書かないけれど。


外はこんな星空が広がっている



白丹にやってくるといつも早起きだ。
早く寝るから早起きというわけでもなく、
ここ二日ほど仲間と一緒だったので夜中の1時くらいまで起きていた。

そうなるといつもなら9時すぎまで寝てしまう状況だけれど、
ここでは朝方4時過ぎに目が覚めてごそごそと準備して車に乗り込む。
やはり素晴らしい朝の世界が広がっているので撮影せずにはいられない。

走り出すと朝の空気をまといながら大自然と一体になったような気持ちになってくる。
車窓の向こうに朝焼けの空が広がっている。
10月初めにしては珍しく雲海も出現していた。


朝焼けの空に三日月が

この季節は田畑が美しい




こんな感じでこの二日間は夜更かしと早起きを繰り返していた。

白丹で早起きになるというのは、旅先ではいつも早起きという感覚ととても似ている。
旅先ではどうしようもなく気持ちが高ぶって毎日早起きとなる。

それが一番顕著だったのはハワイでのこと。

滞在中は当然のように毎日早起きでワイキキビーチを撮影しながら散歩していた。
毎日歩き続けて疲れているはずなのに。
そんな疲労は朝の空気が吸い取ってくれるようにパッと目覚めて再び歩き出す。

そんなことを思い出していると、
ここ白丹での感覚はハワイのようなものかもしれないと思うようになった。
いや思うようにしている。

ということでいきなりハワイの朝の写真を一枚。
いつか行ける日を願って。

 

早起きしてワイキキビーチ



明日もきっとハワイのように早起きだ。

 

 


●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →