想いにふれる メイドイン

column

May 05, 2021

シャッター音を傍らに
scene18 【5月】 春先のスイッチ

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by kawakami shinya

白野江植物公園にて



【5
月】春先のスイッチ


春の風景を求めて様々な場所へ撮影に巡っている。

いろいろと出かけるのはとても面倒なことになっているけれど、
こう見えて仕事なので(遊びにしか見られないけれど)いろいろ気を付けて気を使いながら撮影を続けている。

 

みなと100年公園にて

 

自然風景撮影の仕事が増えてきたころから、カメラの設定に関して
仕事撮影と作品撮影では使い分けるようになってきた。

仕事での風景撮影を終え、設定をやや地味な色合いの作品モードに変更すると
気持ちにふっとゆとりが生まれて、心も切り替わってゆく。
今年の春はネガ風の色合いで春を撮ってみた。
クラシックネガというちょっと懐かしい色合いの設定。

まずは八女へ。
グリーンピア八女に広がる静かな森。
しっかりと整備された遊歩道があり、新緑を映す湖がその先でさわやかな風に揺れていた。
まずは仕事モードで撮影し、ある程度終えたらクラシックネガに。

 

夕暮れの光に新緑が輝いている

 


次の日は井原山登山へ。
春のこの季節、コバノミツバツツジが頂上付近に咲き誇る。
とりあえず三瀬峠へと向かい、登山口にある数台分の駐車スペースに停めることができれば登ろうと思っていた。
すると一台だけスペースが空いていたので登山の日になったのだ。
自然相手の仕事は天気次第というところもあるけれど運次第だ。
結構運まかせで生きているなあとしみじみ。

およそ一時間半の登山で頂上へ。
コバノミツバツツジが周囲に鮮やかなピンク色を添えている。
天気もよく眼下には福岡市内がよく見えていた。

 

井原山頂上付近。ピンク色のトンネルが続く

 

続いて長崎。
川原大池公園でしばらく新緑を撮影し、次はどこへ行こうかと思案しながら車で寝てしまった。
夕暮れの光で目が覚め、とりあえず市内へと向かい県立美術館付近に車を停めた。
すると小高い山の上に新緑に囲まれた展望台が見えたので、そこまで行ってみようと歩きはじめた。
グラバー園入り口を過ぎると『鍋冠山展望台と書かれた看板が現れ、
とりあえずその先に続く坂道を登り始めた。
思ったより急で息を切らしながら登っていった。
そしてもうすぐ展望台というところに現れた立派な駐車場。

車でよかったじゃん!と心で叫びながら展望台を駆け上がり撮影開始。

 

川原大池が新緑と青空を映す

港の向こうに輝く海が見える



福岡市内もよく撮影した。

福岡市植物園ではバラが満開という話を聞き、
とりあえ9時前に入口へと向かい、開園同時に走ってバラ園へと向かった。
仕事モードでは人物が入ってはいけないため、人がやってくる前にパパっと撮影なのだ。

先日の長崎同様に息を切らしながらバラ園到着。
そして誰よりも早く到着! 

構図を素早く決めて数カット撮影。
そして人がたくさんやってきたところで切り替えて開放絞りなどで撮影。

 

名前は分からないけれどとてもきれいだ

 

このスイッチの切り替えはとても大事だなあと思っている。

僕はもともと気持ちの切り替えが苦手なので、
カメラの設定を切り替えて僕自身の気持ちも切り替えるという行為は大切にしていきたい。

新しい世界が見えてくるかもしれない。
とりあえず春先から始めたので「春先のスイッチ」と命名している。

 

撮影を終え車窓をゆっくり眺める時間

 


●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →