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column

January 12, 2021

いいにおいのする台所研究所
第14回 年末年始の台所

ワクワク。

場所の名前は、「いいにおいのする台所研究所」。
ここで私が皆さんと食べものの話をするのです。
誰に気兼ねすることなく、
最初から最後までずっと食べものの話をするのです。

ドキドキ。

ここでしばらく時間をかけて趣旨説明をします。
これを読んで、そういうことなら私も食べものの話をしに行きたいな、
と思ってくださったらば、あなたもどうぞスタジオへお越しください。
by natsuko kawakami

今年のおせち。豆腐の伊達巻、金柑の甘煮、サーモンなます、数の子とアボカドの和物、栗きんとんの葛餅、黒豆に海老の出汁煮、そして稲荷寿司





14)年末年始の台所


年が明けても先が見えない、正念場が続きますね!

感染防止対策はもちろんですが、日々のニュースと押し寄せる寒波に打ち勝つためには
前を見て、今日の仕事を一つひとつ地道に進める、不安に打ち勝つ強さが求められます。
私の場合、やはり食べるものを見つめ、私と家族の食生活を構築していくことにより
強い心を保っているような気がしています。

免疫力を上げる滋養深い食事を、ということだけではないんです。
手を動かしていつもやっていることを粛々とこなすことで気持ちをまっすぐにしたい。
自宅でよくラジオ体操をやるんですが、定期的に同じ動きをすることで体の調子がよくわかるんです。
肩が凝ってるなとか、足が、とか。そして曲がった体がまっすぐに直ったな、と実感する。
自分にとって台所に立つことは、気持ちの体操のようなもの。歪みを矯正するのです。

できあがった成果物(食事とかおやつとか)はあくまでもその結果。
あなたにとって気持ちの体操はなんですか?
編み物とか。ランニング。カラオケ〜。あっ。今は怒られるのか。
映画とかお笑いを見たり。掃除とか。
なんでもいいですよ。無理なく楽しく続けられるもの。気持ちいいな、と思えるものがいい。
それに集中することで、体の声をきき、弱っているところに気をかけてやる。

がんばっていきましょう!
いつになくマヂメなカワカミです。
さて、年末年始の台所。


私は幼い頃は父方の祖父母の家で親戚一同とともに祖母の作る料理を食べていました。
31日からご馳走を食べる「ふるめし」の習慣があり、
年越しそばはお腹がいっぱいで食べたことがなかった。
1日はどちらかというと31日の残りを食べるという感じ。
雑煮にはあん餅が入っていました。
2日から母方の祖父母宅へ行きました。
最中の種を作る工場をやっていた家で年末には鏡餅を売るので
ここの餅はとにかくうまかった。
火鉢で焼く餅は最高でした。

振り返ると、うちの親戚はいちいち食いしん坊が多い。
食べることについて一言も二言もあってこだわりが強い。
カニは茹でガニにして関節の食べにくいところをツユなしで食べるとか。
正月は巻き寿司ば作らな、とか。
エビのすり身を食パンに乗せて揚げたハトシがないと「アレはないとね?」となる。


時は過ぎ、今はうちの実家に親戚が集まるようになりました。
私の母が主導して親戚分のご馳走を作る。
私は母をサポートするメニューを作る。母が作らないものを作る。
母が作る習慣のないものとか、目新しいものとか。
それで31日と1日のお膳を整える。

母はこのもてなし仕事が大変なので私には引き継がせたくないと考えている。
父の母についておおわらわの台所を手伝っていた時代からだから、いろいろ思うこともあるのだろう。
各方面の懸念点(親戚間のモロモロですよ)が落ち着いたら、
家族だけでどこかいい温泉宿で、というような年越しをするのが夢だと言う。
母がしたいようにするのが一番いいと思う。

それはそれとして、嫁姑が居並ぶ台所仕事の面倒がなかった幼少の私にとって
あの大きくて短い足つきのテーブルを三つも4つも並べたところにご馳走が揃う光景は忘れられない。
豊かで、揺らぎがなくて、お腹がいっぱいで、永遠に続く習わしのような。
物心がついて思春期になってさまざまな大人の事情でメンバーに増減があって
それが永遠でもなんでもないことに気がついてしまった時の流れまでも含めて、とても貴重な思い出だ。


いいこともよくないことも含めて、
台所という景色の原点は年末年始のそれだ。
年末年始の台所。
40を過ぎてなおはっきりと覚えている。
朱塗のお重を思い描いてアレやこれやのご馳走を作るのだ。

 

 

クリスマスケーキは15センチながら4枚のスポンジを使って高さを出し、いちごをたっぷり使いました

 




■■第二回講座
『鍋炊き玄米と、あの台所道具とともに生きていく』■■

日時】
2021年1月17日(日)   ※1/17(日)は満席になりましたので締切りました。
2021年1月19日(火)   ※1/19(火)は満席になりましたので締切りました。

◎イベント詳細はコチラをご覧ください →


両日とも満席になりましたので、ご予約を締め切らせていただきます。
お申込みありがとうございました。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大状況によって、
また、荒天・積雪等、交通機関に問題が生じる場合など、講座を中止・変更することがあります。
その際は、お知らせいただいた[連絡先]にご連絡いたします。 




鍋炊き玄米と、あの台所道具とともに生きていく



つづく・・・
>>>次回は2021年の1/26頃に更新予定です。


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●写真・文/川上夏子

■■プロフィール■■

●川上夏子(かわかみ・なつこ)
1974年福岡生まれ。グラフィックデザイナー。ではあるけれども、著作があり、スタイリングもやるし、料理家さんの日雇いアシスタントもやります。
日々マッキントッシュの前に座りながら、頭の中はほぼ「何を作り何を食べるか」でいっぱいであります。
アラフィフの入り口に立ち、いよいよ人生の総まとめとして「食べものの作り手」として本格的に仕事をしていきたいと考えています!趣味は健康管理。
[著書
『小夏を探す旅』(2020年)
『ぼくらのいえができるまで できてから』(2016年)
『福岡のパンとお菓子の小さなお店』(2013年)
『福岡のまいにちごはん』(2012年)