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column

September 29, 2020

いいにおいのする台所研究所 第7回
冷凍冷蔵庫を守れ!大作戦。10号と戦う私の備忘録

ワクワク。

場所の名前は、「いいにおいのする台所研究所」。
ここで私が皆さんと食べものの話をするのです。
誰に気兼ねすることなく、
最初から最後までずっと食べものの話をするのです。

ドキドキ。

ここでしばらく時間をかけて趣旨説明をします。
これを読んで、そういうことなら私も食べものの話をしに行きたいな、
と思ってくださったらば、あなたもどうぞスタジオへお越しください。
by natsuko kawakami

鶏ひき肉に砂糖と醤油と酒をまぶしてそぼろに





7)冷凍冷蔵庫を守れ!大作戦。10号と戦う私の備忘録

超超超超超大型台風10号。
皆様の地域ではいかがでしたか?

被害に遭われた方も多くおられたと聞いています。
幸い私が住んでいる福岡市の山手では大きな被害はなく、
折れた枝木などで散らかった外構を掃除するくらいで済みました。

私にとって今回衝撃的だったのは、停電や断水が数日続くかもしれないという事前情報でした。

10号の襲来は土曜日から月曜日の予報でした。
台風の予報や被害の想定などが報道されたのはその数日前の水曜日あたり。
私はちょっとボーゼンとしてしまいました。

停電する???
何を言っているのだ、と。
そんなことが許されるわけないじゃないか。

うちの冷凍庫は肉や魚、一年を通して作りためた保存食でいっぱい。
保冷剤を用意して停電に備えて、などとテレビで言っているけれど、
そもそもパンパンの冷凍庫に保冷剤なんか入らない。
しかもうちは木曜日に生協から1週間分の食材が来るのです。

折しも、台風明けの火曜日は息子の誕生日。
パーチーに向けてスペシャルな食材も買い込んでいたし、
特にオーム乳業の生クリーム3パックは本当に冗談抜きで守りたいものでした。

そう、私にとって冷蔵庫や冷凍庫はちょっとした財産のようなものなのです。

「ありえんだろう」と現実逃避していた水曜日でしたが、
木曜には目を覚ましました。やばい。
ヤツ(10号)は本気だ。どげんかせんばいかん。


それから4日間、「私の命と家族の次に大事な財産救出作戦」を実行しました。
今回のコラムは私の個人的な備忘録です。

 

これも砂糖と醤油と酒。味噌も多めにまぶすと水分がどんどん凝縮されて生肉だけど日持ちもするし熟成されます。そのまま炒めたり煮たりなんでも

 

まず、冷凍庫のひき肉や薄切り肉など傷みやすい肉を解凍して調理しました。
ひき肉はそぼろにし、豚の薄切り肉は下味をつけます。
火を通したり、濃いめの下味をつけておくことで冷蔵、または短期間であれば常温でも保ちます。

エビも解凍して、オクラといっしょに出汁浸しにしました。
これも気持ち濃いめの味付けにしておきます。
鶏レバーはケチャップ煮に。
いずれも停電してゆるゆると解凍されてしまうと再度冷凍は避けたい食材ばかりです。


下ごしらえした海老とオクラ。出汁浸しにしたら夫曰く「デパ地下みたい〜」。一応褒めてるそうです

鶏レバーを下茹でしてから濃いめの味付け。ケチャップ多めでご飯にもパンにも合う合う

 

ここまでやっていく中で、冷凍庫の貯金を崩す(解凍して料理する)ことは、
食材の腐敗を防ぐだけでなく、
これからの避難生活の非常食であり保存食になりうる、と気がつきました。

地震などの突発的な災害ではなく、台風はずいぶん前から「お知らせ」してくれる災害です。
「せっかく貯め込んだ貯金がぁぁぁ」と絶望していた部分もあったわけですが、
そう考えると楽しくなってきました。

そこでついでに鳥の手羽肉と、同じく冷凍していた自家製の干し大根を
そのまま水に入れてそのままコトコトと煮込んで生姜のスープにしました。
こうしておけば、停電してカセットコンロや
七輪(うちはキャンパーなので樫木炭のストックもあり)で加熱しなければならないときに、
一から作るのではなくある程度作っておくことで加熱時間が短縮され、
ものの5分でホカホカスープが食べられ、燃料も少なくて済みます。

この頃には冷凍庫も空いてきたため、
やっとアウトドア用に使用している大きな保冷剤を凍らせました。


ちなみに夫はその間、
家の前にある畑周りを片付けて、窓に段ボールを貼ってくれました。
雨戸のある窓はそのままに、寝室の雨戸のない窓だけは守ろうということに。

土曜の朝には、近所の友人たちとラインでのやりとりで
既にスーパーでは水やカセットボンベが売り切れている情報をゲットして、買い出しを諦めました。

日曜日の昼にお餅をつき、ご飯もたっぷり炊いておにぎりにしました。
いずれも醤油を少し垂らして七輪で焼き戻すととてもおいしい家族の好物です。

お茶を10リットルほど沸かしてから最後に大きめの鍋やボウルに水をはって終了。
外は風雨荒れ放題ですがなんかやり切った感に満ち溢れ、
深夜から早朝にかけての台風の最接近に思いを馳せつつ
いつものように9時にはぐっすりと就寝。そうして朝を迎えたのです。

 

(おまけ)
窓に直接テープをバッテン、というのはなんか抵抗あったのですが、どなたかのFacebookでコレ見ていいな、と

 

早速テレビをつけてニュースを見ましたが既に最接近の時間を過ぎていました。
停電などの被害はなく、風の強い1日となりました。

その日から作りためた保存食を食べました。
作り貯めたもののおかげでしばらく食事の準備をする必要がなく、
もろもろ無事だったという安堵感とともになんだかのんびり。

月曜は台風のため学校も仕事も休みだったため、
誕生日に向けてスポンジケーキやクッキーを焼いて過ごしました。

備えあれば憂いなし。何の捻りもないオチですみません。でも痛感したのです。
転ばぬ先の杖。思い立ったが吉日。それからなんだろう。

行動あるのみ!ということで、宣伝です。


台所研究所のリアル教室・第一回『マフィンの仕組み』、
もうあと少し空きがあります。


ご興味ある方は、こちらの記事をご確認の上、お申込みください。
>>>10/17(土)、10/20(火)『マフィンの仕組み』 by いいにおいのする台所研究所




つづく・・・
>>>次回は10/13頃に更新予定です。


前の記事を読む>>>『いいにおいのする台所研究所』



●写真・文/川上夏子

■■プロフィール■■

●川上夏子(かわかみ・なつこ)
1974年福岡生まれ。グラフィックデザイナー。ではあるけれども、著作があり、スタイリングもやるし、料理家さんの日雇いアシスタントもやります。
日々マッキントッシュの前に座りながら、頭の中はほぼ「何を作り何を食べるか」でいっぱいであります。
アラフィフの入り口に立ち、いよいよ人生の総まとめとして「食べものの作り手」として本格的に仕事をしていきたいと考えています!趣味は健康管理。
[著書
『小夏を探す旅』(2020年)
『ぼくらのいえができるまで できてから』(2016年)
『福岡のパンとお菓子の小さなお店』(2013年)
『福岡のまいにちごはん』(2012年)