想いにふれる メイドイン

秋分の候。夜が段々長くなるね~

column

December 11, 2019

ひとしずくの台湾 ーMade in Taiwanを探しにー
drop15 台南に恋する文筆家&お蕎麦屋さん

福岡市在住フリーランスライターが綴る
「Made in TAIWAN」をテーマにしたアレコレ。
仕事でもプライベートでも、何度でも訪れてしまう台湾の魅力を
ゆるゆると発信します。
by arei maeda

『洞蕎麥』(移転前のお店にて)で三線を披露してくれた大洞さん  

 

drop15 台南に恋する文筆家&お蕎麦屋さん


ちょっと間が空いてしまいましたが、いよいよ本格的に冬到来、いかがお過ごしですか。
この時期は暖かい気候の場所が恋しくなる季節でもありますね。

さて、今回は「人シリーズ第一弾」として、
台南に暮らす友人・大洞敦史さんの紹介をしたいと思います。


大洞敦史さん。1984年東京生まれ。2012年より台湾台南市在住

 

「夢見る、働く、恋する、結婚する、ゆったり暮らすに最適な町」
これは「台南」を語るときに表現される、素敵な言葉。

この文字通り、台湾に来た瞬間から恋に落ち、
今では台南の地で暮らす日本人が大洞さんです。
文筆家であり三線弾き。
そして、台湾へ日本の蕎麦文化を伝えるお蕎麦屋さんでもあるという多芸多才な方。
「台湾に惹かれた理由は?」と事あるごとによく聞かれるそうですが…

時は遡って2010年のこと。
映像制作のワークショップに参加するため台北の地に降り立った25歳の大洞さん。
東京でもやもやした大学生活を送りながら、パチスロで(!)生計を立てていたというのも驚きですが、
初めて訪れた台湾、包み込んでくれるようなおおらかな自然や空気感にとにかく圧倒され、
台北市内を端から端まで徒歩で歩いたのだとか!

そのとき「一目惚れ」状態で移住を決めて、さらに旅を続け、
いちばん自分にしっくりくる町・台南へと移住。
しばらくは日本語教師として過ごしながら、『台湾環島 南風のスケッチ』を執筆しました。
日本と台湾のこと、地域とそこに暮らす人たちのこと…
物語の背景である歴史や文化を踏まえ、丁寧な取材からかたちになった本は、
台湾に興味を持つ人ならば一読の価値ありです。

 

 

子どもから大人まで、そば打ちに興味津々の台南の方々

 

仕事の合間には、三線を片手に行政や文化的なイベントなどに参加。
温和な人柄もあって「1曲歌えば、誰とでも親しくなれる」特技で、日台の親善に努めています。

そのうちに台南に根を下ろし独立しようと、日本中のお蕎麦屋さんを回って独学で修業。
2015年には晴れて『洞蕎麥』をオープンし、台湾人のパートナーと愛猫1匹の家族も増えました。

今年は、中国語で『遊歩台南』を執筆。
作家の一青妙さん、イラストレーターの佐々木千絵さんなどなど台湾を愛する方々と繋がり、
台湾カルチャーを盛り上げています。


大洞さんのFBより白居易の詩「月明蕎麥花如雪」(月明かり蕎麦の花雪の如し)


11月末から12月中旬にかけて、台湾でも蕎麦の花が白く可憐な姿を見せます。
蕎麦の収穫期は1月とのことなので、新蕎麦も楽しみですね。

『洞蕎麥』では、彰化二林産のそば粉を使い独自の麺をつくり上げています。
いただいたざる蕎麦は、瑞々しく適度な歯ごたえがあり、
つるりと爽やかな喉越しで日本蕎麦と変わらないおいしさ。
とはいえ、台湾の人は甘めのつゆとトッピング(とくに揚げ物)が好きなようで、
日本スタイルのままというわけにはいかず、アレンジを加えながら試行錯誤なメニューが展開されています。
お蕎麦のみならず、手作りの花型そばクッキーや揚げそば団子といったオリジナルスイーツもおすすめ。

 

 

シンプルな「盛り蕎麦」は120元(430円ほど)


労を惜しまず、暮らす土地や人について探求を続け、
食、音楽、文化など多様な交流で台湾と日本をつなぐ人。

独特なキャラとくっきりした顔立ちから、生粋の台南人のような感覚すら覚えるほどですが、
そんな敬愛する大洞さんのお店、ぜひ足を運んでみてください。





 

#Made in Taiwan 15

日本の食文化を台湾へ
台湾産そば粉でつくる本格蕎麦

 
洞蕎麥(ドンチャオマイ)
[住所]台南市南區永華路一段251號
[TEL]+886 6 265 8798
[営業時間]11:30〜14:00、18:00〜21:00(土日は11:00~/17:30~)
[休み]無休
https://www.facebook.com/dousoba(Facebook)
 



●写真・文/前田亜礼


■■プロフィール■■
●前田亜礼(まえだ・あれい)/福岡市在住フリーランスライター。
大分県日田市出身。台北のガイドブック執筆をきっかけに、2009年から台湾へ。
以来、仕事の合間を縫っては気まま旅を楽しんでいます。いつかは台湾暮らしを夢見て、中国語と二胡を修業中。