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column

November 11, 2019

シャッター音を傍らに ~福岡⇔くじゅう白丹~
scene05 【11月】「comogomo」なる日々

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by shinya kawakami

 

ススキなびく秋の道


【11月】「comogomo」なる日々

 

くじゅう白丹で静かすぎる夜を迎え、いつものように夜明け前に目が覚めた。
かなり寒い。

温度計は6度を指しているので福岡に比べるとここはもう冬のよう思える。

星の瞬く空を眺めながら車のエンジンをかけ、
先月と同じように夜明け前の高原へと出かける。

この時季になると僕の車のCDは
エンジンが暖まらないとかからない(旧式だ!)。

しばらく真っ暗な森の中を走り、
産山村に入ったあたりでクリームの『Crossroad』が鳴り始めた。

たまにはロックな朝もいい。
大音量にして高原を走りぬけてゆく。

東の空が明るみ始めたころ、牧場の馬たちが遠くに見えた。
朝日を迎えるシルエットが美しい。

 

秋草の向こうに馬のシルエットが見えた

 

いつものことであるけれど、夜明け前のドライブは目的も行き先もなく、
ただ当てずっぽうに道を選んでいる。
どんな光景に出会うのかもちろん分からない。

特に撮りたい光景と出会えないまま帰ることもあるけれど、
エンジンを切った時にかすかに聞こえる鳥のさえずり、
ススキの擦れ合う音が耳に届いてきただけでもやってきてよかったなあと思う。

そしてこんな馬のシルエットに遭遇したりすると、
このような光景が何かしらの僕の中で心を落ち着かせる時間の記憶として蓄積されてゆく。

この当てずっぽうの朝のドライブはとても大事な時間。

 

さわやかなる朝の高原!

 

1泊2日の短いくじゅう白丹滞在を終えて帰福。

福岡では新しいデキゴトが着々と進んでいる。
薬院大通り沿いのレトロなビルの6階、601号と602号室。
ここで大改装が行なわれ、近々お披露目となる。

 

ベランダからは薬院大通りがすぐ下に


ここは伊藤尚子(通称いとなお)さんが仲間たちと共に創り上げた空間。
事務所、イベントスペースに加え、ギャラリーも併設されている。

 

こちらはギャラリー併設の事務所空間。もう少しで完成

 

いとなおさんが《シティ情報ふくおか》の編集長だったころから共に仕事をしているので、
もう15年ほど様々な取材を共にしている。

今はこのコラムを連載している、モノ・コト・マガジン『MADE IN…』の編集長。
そんな縁もあって僕も参加させていただくことになったのだ。

「comogomo」と名付けられたこの空間、
いとなおさんの今までの多くの経験が生かされ、様々な人々が行き交う空間になるだろうと思う。
僕は主にギャラリーを担当することになるのだが、お披露目の際に写真展を開催することに。

川上信也 写真展『福岡 詩的リアリズム』
モノクロの小さなプリント12枚ほどを展示する予定。

まさに「comogomo」なる日々がはじまる。

 

 

雨 天神交差点

 

■■川上信也 写真展『福岡 詩的リアリズム』■■
2019年11/23(祝・土)~12/7(土)

※会期中の月曜定休
※会期中、川上信也によるギャラリートーク&カメラ講座、作品をお題にした句会あり

詳細はコチラのイベント記事をご覧ください →

 



●写真・文/川上信也

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →☆