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column

August 12, 2019

シャッター音を傍らに ~福岡⇔くじゅう白丹~
scene02 【8月】 真夏の輝き

福岡とくじゅう、時々その他…
街の中で自然にあこがれ、自然の中で街を想う
シャッター音が響くたびに、心が豊かになってゆく
そんな写真家が織り成すフォトエッセイ。
by shinya kawakami

はじまりは福岡都市高速から

【8月】 真夏の輝き


福岡市内は朝から30度を超えている。
車のエアコンの調子が悪く、暑すぎると効いてくれない。
要するに肝心なところで効いてくれない。

日田に到着して38度になっていた時にはうちわで仰ぎながら運転していた。
ルームミラーに風鈴を下げておけばよかったなと思いながら国道212号で小国方面へと南下する。
ここからは次第に気温が下がってくるので、窓からの風でどうにかしのげるようになってくる。

国道442号で瀬ノ本高原を過ぎ、夏色の山肌になった九重連山が見えてくる。
遠くに阿蘇が噴煙をあげている。
青空がおどっている。
そして緑まぶしい久住高原が眼前に広がってくる。

 

夏草の香り広がる久住高原


竹田市に入ったところに気温が表示されているのだが、27度となっていた。
そんなに違うものだろうか。
確かに心地よいひんやりとした風がヒグラシの声に交じって車内に入ってくる。
窓を開けたままお気に入りの草原に囲まれた道を走り白丹へと向かう。

 

電柱も傾きも魅力的な白丹への道



くじゅう白丹にくると、雄大な風景との遭遇だけでなく、
魅力的な人たちとの出会いも大きな楽しみの一つになっている。
僕はその方々を時々撮影させてもらっている。

風景撮影とはまた違った感覚での撮影となるため、今までにない世界の広がりを感じている。

ファインダーを通して会話しているようで、自分自身の内面も試されているようにも思えてくる。
先日撮影させてもらったのは「久住のラッパー K-SK」こと、ケイスケくん。

 

生まれも育ちも久住です

 

各地でライブ活動を行っているケイスケくん。
昨年は竹田市の8ミリ映像を集めて地域映画にするという
「タケハチシネマプロジェクト」において挿入歌を仲間3人で担当し、
今年は竹田市内での単独ライブを開催した。

久住の星空や雄大な大地にインスパイアされながら進化を続けるラッパー。
ライブには老若男女100人以上が集まり大盛況となった。

 

この日、竹田市には彼のラップが響き渡った


そのライブの数日後、彼は突発性大腿骨壊死症という難病のため入院し、
今はリハビリに励みながら新たなる歌詞を模索し、復活ライブを目標に頑張っている。

24時間テレビの取材も受けたというから、思いのほか刺激的なリハビリ生活になっているようだ。

 

復活ライブが待ち遠しい


月が沈み、辺りが真っ暗になってきたころ、星空を撮影に出かけた。
近くにグライダーの滑走飛行場があり、星空観察の絶好の場所となっている。

エンジンを止め、ライトを消すと一気に世界が変わる。
目が慣れるまで闇におびえることもあるが、30秒もすれば星灯りの感動に包まれる。

真夏なのにちょっと肌寒い。
月明かりがないからだろうか。

こんなにはっきりと輝く天の川を見るのは久しぶりだ。

 

滑走路の先に天の川

 


●写真・文/川上信也
 

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami

■前シリーズ『くじゅうの麓、白丹のルスカ』(2018年5月~2019年4月)はコチラから →☆