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column

November 06, 2018

くじゅうの麓、白丹のルスカ scene7
【11月】 小春日和の中で

白丹から望む秋のくじゅう連山


【11月】 小春日和の中で


11月、くじゅうの山々もすっかり黄金色。

澄んだ大気の中、朝の光が生み出す陰影が最も美しく感じられる季節となった。

近所の小さな池の周囲の木々は葉を落としはじめ、
ススキは静かにたたずみ、朝霧が水面にとどまっている。
そこに映り込む森の木々は不思議な模様を創り出し、いっそう水の風景が明瞭に見えてくる。

このさりげなく垣間見せる自然の美しさに足をとめ、さりげなくシャッターを押してゆく。

 

もうすぐ朝霧の奥からカモが姿を見せる

 

『レゾネイトクラブくじゅう』そばにある登山口から
佐渡窪(さどくぼ)と呼ばれる湿地へと向かった。

およそ2時間の登山だろうか。
紅葉は山々から一気に降り、登りはじめあたりの木々は光り輝く秋の色となっていた。

 

見上げると秋の色

 

佐渡窪はあまり知られていない場所であるけれど、
峠を越えて突然姿を見せる小さな窪地。

いつ行っても鳥の声が周囲の山々にこだましているお気に入りの場所だ。

小春日和の中、朽ち葉色に囲まれた木道をコツコツと歩いてゆく。
自然のそれぞれが次の命の準備をはじめている。

 

湿地をゆく一本の木道

 

先月28日、竹8シネマプロジェクトの地域映画
『竹田ん宝もん』の完成上映会が行なわれた。

今年完成したばかりの文化施設『グランツたけた』の廉太郎ホールは2階席まで埋まり、
上映前のイベントから大盛況となった。

昭和の時代に竹田市で撮影された400本以上の8ミリフィルムが三好監督によって編集され、
未来へと受け継がれてゆく貴重な地域映画。

バックミュージックも地元のバンド演奏や子供たちの歌声が挿入され、
この映画そのものがまさに「竹田ん宝もん」だ。

 

上映前のイベントでは滝廉太郎の唄を合唱

 

僕たちルスカファクトリーはこの映画のパンフレット制作を担当していたのだが、
納品にも間に合い(ギリギリだったけれど)、
来ていただいたみなさんの手にお渡しすることができたのだった。

フィルム提供者など30人以上を取材して駆け回った猛暑の日々、
ページをめくると改めてこの町の人々の魅力が見えてくる。

映画制作の過程や地域情報ページもあります


映画のエンドロールには僕らの名前も登場。
 

うれしい一瞬!

 

『竹田ん宝もん』は来年3月にも『グランツたけた』で上映予定。

 

プロジェクトリーダーの小笠原順子さん

 

このパンフレット制作を通じて、多くの竹田の方々と知り合うこととなった。
いずれ未公開の写真も含めて、「竹田ん人々」の写真展を開催しようと、小春日和の白丹で考えている。

 

 


【今日のルスカ】

木製のカウンターは当時のまま

 



●写真・文/川上信也
 

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami