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December 02, 2025

季節の副菜と台所道具[第13回]
12月…馬毛の漉し器で超なめらか!お節のきんとん

旬の食材を使って
ひと手間かけて作られた副菜は
立派なごちそう。

便利・時短が当たり前の時代ですが
家庭料理と、消えつつある優秀な台所道具たちを
ちょっと見直してみませんか?


30年以上前に料理教室で出会った馬毛の漉し器。白和え、蒸したナスのディップ、あんこ、しるこ・・・etc. いろんな料理を作りましたが、そのどれもが仕上がりの滑らかさにびっくり。感動しまくりでした。その味をいつでも作れるように、即効、買いに行ったのを覚えています。フードプロセッサーに比べたら手間も暇もかかるけど、この美味しさは食べんとわからん、わからん。

 


第13回
12月…馬毛の漉し器(うまげのこしき)で超なめらか!お節のきんとん

ついに師走。そろそろ年末年始の過ごし方に心ざわめいています。
その最もホットなトピックスの1つが
「お節」。
市販のものって、普段食べなれない高級食材のオンパレードで個人的にはちょっと苦手です。

味付けも濃いし。なので今年も頑張って自分で作ることにしました。

お節作りには、これまでに私がご紹介してきた絶滅危惧種のような和の道具たちが大活躍します。
蒸篭、巻き簾、さらし、すり鉢、竹ざる、流し缶、銅の卵焼き器・・・そして今回の馬毛の漉し器。
馬毛の漉し器は檜などの板を丸く輪にした枠に馬の尻尾の毛でできた網を張ったものです。
和菓子の餡子や白和えの餡など、食材をペースト状にする道具です。
ステンレスの針金や馬の毛の代替の糸を張ったものがやや安価で売ってはいますが、
馬毛の網は
濾す時のしなり具合が絶妙で、本当にきめ細やかなペーストが出来上がります。
お節に入るきんとんのレシピがこの時期巷には溢れますが、フードプロセッサーを使って作るのがほとんど。
フードプロセッサー、ダメじゃないですよ。
でもね、馬毛の漉し器で作ったきんとんは比べ物にならないくらい
滑らかで口の中でとろける食感なんです。
フードプロセッサーだと芋の繊維も全て細かく刻まれて餡に入りますが、馬毛の漉し器はさつまいもの身だけが
濾されて、繊維は中に入りません。
神は細部に宿ると言いますが、味の違いは食べ比べてみると格段に違います。

残念ながらこの馬毛の漉し器も今となっては入手困難となりました。
作る職人さんがいなくなったためです。

馬毛の網が破れたりしたら修理をしてくれる人ももういないのだそう。とても残念です。

もしもこれから需要が増えれば、また職人さん、増えるかしら?
だとすれば技術の継承はまだ間に合うのかしら?

そんなことを考えながら、このコラム書いてます。

前述しましたが、私がこの1年余りご紹介してきた絶滅危惧種の道具たちは、このお節作りに欠かせないものです。
お節は作る時代から買う時代へ。
豪華なお節を買って多少気楽に年末年始を迎えられるようになったけど、

家族総出でお節を作る光景や、家の味の継承がなくなってきたことをちょっと寂しく思います。
これから少しでもお節を作るご家庭がどうか増えますように。

2025年も私のコラムを読んでいただきありがとうございました。
皆様、良いお年をお迎えくださいませ。


■馬毛の漉し器
私が持っているのは直径30cmのもの。下に敷いたトレーは喫茶店のウエイターさん用のステンレス製のお盆。濾す時は馬毛の部分をしばらく水に浸して網をしっかり張らせます。

 

潰したさつまいもを少しずつとって漉します。熱々の時にやらないとさつまいもが固くなって漉しにくくなるので注意しましょう。網目は向かってバッテンになるようにセットします。そうするときめ細やかに濾すことができます。

みて!この細やかさ!今度はこれに砂糖を加えて練りますよ。

 

■□■きんとん■□■

【材料】(作りやすい分量)
さつまいも 300g
砂糖 80〜100g
くちなし 2個
水 適宜

【作り方】
①さつまいもを2cmぐらいの厚さの輪切りにし皮を剥く。
 5分くらい水にさらしてアク抜きをする。


②くちなしを包丁の腹などで潰し、半分に切る。
 お茶パックに入れるかガーゼに包んで結んでおく。

 鍋に①、くちなしを入れ、さつまいもがかぶるぐらいの水を入れ、柔らかくなるまで煮る。
 火加減は沸騰するまで中火、沸騰したら弱火。馬毛の漉し器の網の部分を水に浸しておく。

③柔らかくなったらくちなしを取り出す。
 さつまいもをザルにあげ、煮汁と分けておく。

 さつまいもをすり鉢やボールの中ですりこぎやマッシャーを使って潰す。

④熱いうちに③を裏漉しする。
 裏漉したさつまいもを鍋に入れ、砂糖を混ぜる。煮汁も大3程度入れる。

 火にかけて弱火で練る。

⑤バットにうつし、平らにして冷ます。
 きんとんを40gぐらいに丸め、晒しやラップで茶巾にする。



水に濡らしてかたく絞ったさらし、またはラップで茶巾絞りを。あらかじめ量を測って丸めておけば素早くできます。出来上がったきんとんの上から濡れ布巾を被せて表面の乾燥を防ぎましょう。ラップで絞った場合は絞った状態でOK。

お節料理には欠かせないきんとん。漢字で書くと「金団」。金塊や金の小判を表現していて、金運アップの願掛けになくてはならない一品。





●文・写真/高木尚子

■■プロフィール■■
●高木尚子…家庭料理愛好家
20代から約30年間、料理研究家・桧山タミに師事。
『97歳料理家桧山タミ先生の台所おさらい帖』(文藝春秋/2023年発行)で料理を担当。
2023年博多大丸で開催の『桧山タミ台所展』企画・主催メンバー。
雑誌にレシピ提供、不定期に料理教室開催。3児の母。


つづく・・・
>>>次回は1/2頃に更新予定です。
※諸事情により更新を2月に変更させていただきます。

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