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column

May 08, 2018

くじゅうの麓、白丹のルスカ scene1
【5月】 光あふれる初夏の高原より

白丹より望むくじゅうの山々。
高原の小さな集落は、さわやかな風が吹き抜ける緑の波の中。

 

【5月】 光あふれる初夏の高原より

くじゅうの麓に白丹(シラニ)という地区がある。

北に九重連山、遠く南には阿蘇を望む自然豊かな場所で、
久住高原のところといえばピンとくる方も多いかもしれない。
豊後竹田市の西側に広がる地域だ。

僕はかつて20代の頃にくじゅう山中にある
法華院温泉山荘に5年ほど勤めていたことがある。

くじゅうは写真家としての第一歩を踏み出した大切なフィールド。
福岡を拠点にしてからもずっとくじゅうの撮影を続けていたのだが、
20年近くを経て再びこのくじゅうの白丹という場所に
新たな拠点を持つことになったのだった。

 

森へ足を踏み入れると朝露で足元がびっしょり。光が届き始めると森が一気に目覚めてゆく。

 

白丹の中心部には『白丹ふれあい温泉館』があり、
そこを中心にこぢんまりとした集落が広がっている。
その温泉館から歩いて3分ほどのところに、
僕たちルスカファクトリーが拠点とする築50年を超える元郵便局の建物がある。

ルスカファクトリーとは去年の夏、
仕事仲間3人(僕、サワさん ヤスタケさん)で起ち上げた会社の名前で、
ルスカとはフィンランド語で燃える紅葉の意味。
フィンランド好きのサワさんの提案で決まった(僕は行ったことない!)。

お二人は編集、文章のプロで、僕はもちろん写真担当。
この白丹の元郵便局と隣の母屋は代表であるヤスタケさんのご実家で、
お父さんが元郵便局長だったのだ。
空き家になって何年も経っており、
もったいないから何とか活用できればということで
僕たちが時々出向くようになり、自然と寝泊まりするようになった。

すると掃除が始まり、壁をきれいに塗り、
物置から古家具を調達し、数日後には何とか写真を展示できるような空間になっていた。

改装費約4万円!

とりあえず何とかこの地域に溶け込んで、
様々な撮影、取材を行っていければと思っている。

そしてそこで出会った人たちの物語、この土地に対する想いをまとめながら
最終的に1冊の本として仕上げていければと思っている。

 

元白丹郵便局改装中。10年以上使っていなかった建物に新たな風を入れてゆく。窓だらけの不思議な建物で、屋根はしっかりとした日本瓦。さて、玄関周りは何色にしようかと考え中。

 

掃除をして壁を塗り、物置に眠っていた家具を置き、好きな本を並べ、お気に入りに音楽を流し、どうにかお客さんを呼べる空間になってきた。当時から変わらない立派なカウンターがポイント。

次第に分かってきたのだが、
竹田市も含めてこの地域は素晴らしいロケーションというだけでなく、
魅力的な人々が不思議と集まってきているのだ(僕たちも?)。

5月の朝、涼しい風が舞い、心地よい湿気が大地を包んでいる。
高原は新緑の海だ。
光にあふれる初夏の日々、
鳥たちのさえずりが山々の樹木にこだまする。
 

 

【今日のルスカ】

白丹の丹という文字は日本古来の丹色(にいろ)という赤の意味もあるということを聞き、赤白なら縁起もいいなあということで玄関周りは赤白に決定。お隣が黄色の鉄筋の建物なので、異国情緒漂うメインストリートになった(たぶん)。

 

●写真・文/川上信也
 

 

■■プロフィール■■
●川上信也/フォトグラファー。1971年愛媛県松山市生まれ。
福岡大学建築学科卒業後、大分県くじゅうの法華院温泉山荘に1997年より5年間勤務。その間にくじゅうの風景写真、アジアの旅風景を撮り続ける。
その後福岡でプロ活動を開始し、様々な雑誌の撮影に関わり、風景のみならず、自然光を生かした人物、建築、料理など、様々な撮影を行なっている。
ライフワークとして九州の自然風景、身近な人々のポートレートを撮り続けており、定期的に写真集を出版、写真展やトークショーを開催している。
◎webサイト:『川上信也 Photographer』⇒ https://shinya27.wixsite.com/kawakami
 

■■インフォメーション■■
川上信也が講師を務める「フォトクラブ四季彩」の初写真展が開催中。
●フォトクラブ四季彩 第一回写真展『IMPRESSION~印象~』
日時:2018年5月4日(金)~5月9日(水) 10:00~18:30
会場:富士フイルムフォトサロン福岡(福岡市博多区住吉3-1-1 富士フイルム福岡ビル1階)→MAP
料金:入場無料