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column

September 02, 2016

季節のうつわと皆敷
其の拾壱:長月(ながつき)

九谷 渡り鳥図 小皿
輪島黒塗 沈金竹/雀図 盆

皆敷:山桜の葉、ミズヒキ

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[器:九谷 渡り鳥図 小皿]
サイズ:径 12.5㎝、高さ 3.0㎝/時代:明治/状態:良好
価格:6枚…2万円(税別)/ 備考:バラ売り対応不可、送料別途
http://hototogisu.me/archives/2826/
[輪島黒塗 沈金竹/雀図 盆]
サイズ:タテ・ヨコ 36.5㎝、高さ 3.0㎝/時代:明治/状態:良好
価格:6000円/枚(税別)/備考:10枚あり、バラ売り対応可、共箱あり、送料別途
http://hototogisu.me/archives/2793/
[皆敷:山桜の葉、ミズヒキ]
桜の花も葉も、主にはお菓子の香りづけ・桜茶などに用いられます。 ミズヒキは祝儀などで使われる水引きそっくりなことからミズヒキ(水引)の名がついたと言われます。 木陰などの暗い場所に育つので目立たない花ですが、わび、さびを感じられるとても味わい深い花です。 ※桜の葉はよく洗って使われることをオススメします。




長月

朝晩過ごしやすくなってきました。
この時期から山は秋めいてきます。
田んぼは少しずつ色づき始め、虫の鳴き声、葉を揺らす風の香り…
とてもいい季節を迎えます。

私は盛付けにはいつも、自分の中で小さなテーマを設けることにしています。
今回は色にポイントにおき、山の彩りを桜の葉の黄色、九谷の茶色、ミズヒキの緑の三色とし、
ベースに持ってくる輪島の黒塗りの盆の中で、器と皆敷を合わせてみました。


黄色は、つい先頃まで青々としていた山桜の葉を。
よく見れば、黄金色にも見えとても味わい深いものです。
色づいた葉っぱを一枚添えるだけで身近に秋を感じられます。

また茶色は九谷の小皿で合わせてみました。
この時期(明治)の九谷の茶色は少しマットな感じで、
図柄の随所に金彩が細かく書き込まれていて
茶色をさらに深みのある秋に見立ててくれます。
 
そこにミズヒキの緑を添えることで、
全体に秋の空気感が漂ってきます。
ミズヒキは花ですが、こうして料理には直接のせずに、
器の周りに配することも、盛付けの演出テクニックとしてはありだと思います。

ベースの輪島の黒塗りの盆は、全体をうまく引き締めまとめる役割。
こちらはチラリとのぞく沈金の文様がなんとも言えず、
決して派手すぎない彩りを添えてくれます。

これからの季節、しばらくは身近な葉っぱで色んなコーディネートが楽しめます。
ご自分でテーマを設けながら、身近な葉っぱで日常の暮らしに彩りを添えてください。

きっと、楽しいですよ。



●写真・文/三嶋亜希子

■■プロフィール■■

『器と、そのまわり 杜鵑草(ほととぎす)』代表。骨董商。器コーディネーター。
幼 い時より両親の影響で骨董や山野草に囲まれた生活を送り、茶道、華道を学ぶ。短大卒業後、広告制作会社、広告代理店勤務などを経て、器コーディネーター へ。2013年より骨董商として始動。現在は骨董商でありながらも、皆敷(※)のスタイルを用いたテーブルコーディネート等、福岡を拠点に活動中。
◎webサイト:『杜鵑草』⇒ http://hototogisu.me/

(※)皆敷(かいしき)とは
器に盛る食べ物や、神饌(しんせん)の下に敷く木の葉や紙のこと。
山の葉や野の花を料理に添えて、季節感や清潔感を表すもので、日本料理の大切な特色の一つと言われる。