column
February 01, 2016
季節のうつわと皆敷
其の四:如月(きさらぎ)
デミタスカップ&ソーサ
皆敷:南天
如月
一段と冷え込みが増すこの時期は
皆敷として使える葉っぱの種類が少ない時期でもあります。
(前回に続き)今回も南天を用いましたが、
今度は、庭先でよく目にする「常緑の南天」を
デミタスカップ&ソーサーに敷いてみました。
このデミタスカップ&ソーサーは
深川製磁の昭和期のものです。
薄く繊細な作りにもかかわらず、強度があります。
白く硬い生地に文様となっている景色の染付けが
なんとも言えず素敵です。
私は近頃、この手のものを
“新しい骨董”として注目していたりします。
南天の実の赤色は厄除けの力があるとされ
古くから慶事に用いられてきました。
よくお赤飯に添えられていますが、
実はこれは、演出、厄除けとしてだけでなく、
お赤飯からでる熱と水分を抑える作用があるため、とも言われています。
本当になんて素晴らしい習慣なんだろう、と
先人の知恵に感心しきりです。
今回のように皆敷として器の下に葉っぱを敷く場合は、
器と形が違うものをベースに持ってくる方が
演出効果は高くなります。
盛付ける際には、もう少し盛ってみようかなーっと思う手前で
手を止めてみてください。
きっと上品に仕上がると思います。
●写真・文/三嶋亜希子
■■お知らせ■■
【季節の器と、皆敷を楽しむ会】
杜鵑草では1月から骨董の器を使って、皆敷を取り入れた盛付けの会をささやかに始めました。
まだまだ試行錯誤しながらの会になりますが、日々の暮らし、気持ちがほんの少し豊かになれる、そんなお手伝いができたらいいなと思っています。
器が、葉っぱが、そしてお料理が好きな方々とのんびり楽しい時間を過ごしたいと思います。 ※詳細はコチラ →☆
■■プロフィール■■
『器と、そのまわり 杜鵑草(ほととぎす)』代表。骨董商。器コーディネーター。
幼 い時より両親の影響で骨董や山野草に囲まれた生活を送り、茶道、華道を学ぶ。短大卒業後、広告制作会社、広告代理店勤務などを経て、器コーディネーター へ。2013年より骨董商として始動。現在は骨董商でありながらも、皆敷(※)のスタイルを用いたテーブルコーディネート等、福岡を拠点に活動中。
◎webサイト:『杜鵑草』⇒ http://hototogisu.me/
(※)皆敷(かいしき)とは
器に盛る食べ物や、神饌(しんせん)の下に敷く木の葉や紙のこと。
山の葉や野の花を料理に添えて、季節感や清潔感を表すもので、日本料理の大切な特色の一つと言われる。